師走 茶懐石献立
鎌倉は山上の茶事。正客は室町より続く名家の当主、連客は5人。紅葉いまだ残る木立の下、客は息を切らせつつ石段を上がり、茶室に到着したものだ。
さて、その頃水屋では、懐石担当の当方、最期の仕上げに必死になっている。亭主所蔵の古陶磁名器は料理うつりも最高だ。
献立
- 向 う 平目昆布〆・カラスミ・防風・山葵(古染付)
- 煮物椀 海老真蒸・青菜・シメジ・柚子(秀平椀)
- 進 肴・穴子山椒煮と椎茸・春菊・人参の白和え(三島鉢)
- ・海鼠酢・柚子(魯山人黄瀬戸マス鉢)
- ・煮蛤串焼・豆腐の出汁焼・菜の花の三種盛(李朝白磁皿)
- ・菊花・人参・シメジ・春菊の三杯酢和え(黄瀬戸銅鑼鉢)
- 小吸物 梅花蒲鉾の白味噌仕立て
- 飯 蟹と生姜の炊込飯 筍皮包み
- 香 物 蕪塩漬・スグキ(尾形乾山角皿)
平目は湯島丸赤で購入した。天然の上物はなかなか手に入るものではないが、丸赤の魚に間違いはない。身は美しく昆布〆にするのがもったいないような上等な平目であった。値段は高いが、納得できる。
穴子山椒煮、海鼠酢は銀座某料理屋から当日の差し入れ。思案の末、味の濃い穴子は白和えに、海鼠酢は天に柚子を振り、当方用意の献立にうまく取り入れることが出来た。
席中は大いに盛り上がり酒もすすんで、強肴4品目の和え物は、有り合せの食材で急遽作ったものである。
続く後座とも評判は上々。亭主、客人、それぞれご機嫌よろしく散会となった。
山上の茶事(弐)
http://d.hatena.ne.jp/izaatsuyoshi/20091203/1259827671