2014-01-01から1年間の記事一覧

ジョルジュ・デ・キリコ 変遷と回帰 2014.10/25-12/26

パナソニック汐留ミュージアムは小規模会場ながら、大画家の招来展を開催する美術館である。今回は形而上絵画の巨匠デ・キリコ展。 何度かテレビでも紹介されたこともあり、終了日も迫るとあれば入場制限を行うほどの人気ぶりである。連れが言うには「すごい…

『靄の旋律』アルネ・ダール/『蘭の告発』キャロライン・グレアム

古書店で無作為に手に取ったのは、奇しくもタイトルが韻を踏むスウェーデンとイギリスのミステリー。ともに主人公の刑事たちの私生活がストーリーに面白みを添える。国が違えば生活スタイルも違う。それぞれの風土が作品の個性を際立たせており、人気のある2…

チューリヒ美術館展 印象派からシュルレアリスムまで 2014.9/25-12/15

テレビ朝日系列で大々的に宣伝をしている「チューリヒ美術館展」。出品作の大半は、極めて日本人好みの画家の作品であり、この手の展覧会では変わり映えのしないラインナップ。見送ろうと思っていたが・・・先日見た「ホドラー展」で、セガンティーニの名前…

フェルディナント・ホドラー展

「躍動する生命のリズム―スイスが誇る異才、40年ぶりの大回顧展」このコピー通り、これほど多くのフェルディナント・ホドラーの作品を見たことはない。貧しい家庭に生まれ肉親を早くに失い、前半期の作品には「死」や「憂鬱」のイメージがつきまとう。しかし…

ウィンザーチェアが来たーッ!

予ねてアンティークのアームチェアが欲しくて欲しくてたまらなかったワタクシ、ついに購入するにいたりました。1930年代イギリスのウィンザーチェア、ネットにて見つけたもの。従来の家具との取り合わせも良し!さて、座り心地はほどほどの及第点、購入前に…

盆略点前

先日の茶事の返礼に茶友を昼食に招いた。天気もすこぶる良い。献立 前菜:柿に生ハムを巻いて ジャガイモのポタージュ 林檎・オリーブのパン(フラントイオガランティーノオリーブオイルを添えて) フロマジェダフィノワ ナチュラルチーズ 鳥挽肉と胡桃、ベビ…

心づくしの茶事

招かねば招かれなくなるのが茶事というもの。私が茶事に熱中していたのは10年も前のことである。ある時から憑き物が落ちたようにやめてしまった。以来、2年余り前にお世話になった方(四名)を招き、簡略な茶事を開いたきりであり、茶事の招待を受けることも…

『東京新大橋雨中図』杉本章子 1988年

東京新大橋雨中図 (文春文庫)作者: 杉本章子出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 1991/11メディア: 文庫この商品を含むブログ (8件) を見る 文明開化の光と闇を描いて一世を風靡した”光線画”の異才・小林清親ーその苦闘の軌跡と幕末から明治の激動に翻弄される…

『面一本』出久根達郎

面一本 (講談社文庫)作者: 出久根達郎出版社/メーカー: 講談社発売日: 2014/04/18メディア: Kindle版この商品を含むブログ (1件) を見る 『ビブリア古書堂の事件手帳』読了後、古書つながりで選んだ1冊。 こちらは長編、『ビブリア〜』を1日で読むとすれば、…

『ビブリア古書堂の事件手帖』

ビブリア古書堂の事件手帖―栞子さんと奇妙な客人たち (メディアワークス文庫)作者: 三上延,越島はぐ出版社/メーカー: アスキーメディアワークス発売日: 2011/03/25メディア: 文庫購入: 32人 クリック: 2,758回この商品を含むブログ (446件) を見る『ビブリア…

山上の茶事(四)

鎌倉は山上に茶室を構える某数寄者の恒例の茶事、毎年初冬から春にかけて開かれるが、今年は諸事情から2ヶ月以上も早い9月21日に行うこととなった。懐石を依頼された当方は、近年9月に手がけた記憶がなく、一週間前から食材売り場を見て歩き、献立を決めたの…

ヴァロットン― 冷たい炎の画家

9月19日「ヴァロットン― 冷たい炎の画家」展に出かける。これまで意識することのなかった画家だが、この機会にじっくりと見てみたい。人生をシニカルな目で捉えた作品は笑いを誘うが、一方、画家の心の奥底に潜んでいる非情にグッと来るものがある。傲慢、物…

『ふがいない僕は空を見た』他2冊

一気読み小説3冊!『ふがいない僕は空を見た』窪 美澄 新潮文庫(2014選抜新潮文庫) 本屋大賞第2位/山本周五郎賞/女による女のためのR-18文学賞大賞/この文庫がすごい2013第1位ふがいない僕は空を見た (新潮文庫)作者: 窪美澄出版社/メーカー: 新潮社発売…

梅シロップ完成!

画像は、漬け込んで5日ほどの梅。時々、容器を揺らしながら一週間ちょっと、角砂糖はすべて溶けた。梅エキスと溶けた砂糖が容器の中でユラユラと踊り、日が経つに連れ、澄み切った琥珀色に輝き出す。暑い、暑い休日の風呂上がりに、氷をガラガラと回しながら…

木村大作『春を背負って』

体調不良を理由に北アルプスを離れ、3年が経つ。近頃、老齢の両親は「やめてくれてよかった」としみじみと言う。現役の頃には「気をつけて」の一声で送り出され、深く語ることはなかったが、山岳事故のニュースを目にすれば山行中の私をさぞや案じたのではな…

中島京子『小さいおうち』(文春文庫)

久しぶりに心惹かれる一冊と出会う。直木賞受賞作は取り敢えず読むという妹の推薦本だが、中島氏の本を読むのは初めてであった。戦前の社会情勢や人々の生活を描いては暗いながらもユーモアがあり、出久根達郎氏の小説に共通する楽しさがあった。また女たち…

梅とバルテュス

気掛かりな仕事から解放され、2ヶ月ぶりに晴れ晴れとした心持で迎えた土曜日。早朝4時半に脚立を抱えて庭に出た。さて、黄色く色づいた梅の実を収穫するとしよう。 まずは肩から袋を袈裟にかけ、脚立に登る。そして手の届く限りの実へと腕を伸ばす…お次は脚…

『桐島、部活やめるってよ』朝井リョウ

「これどう? 映画にもなったよ!」 「オススメ? フーン! 読んでみるか 」 桐島、部活やめるってよ (集英社文庫)作者: 朝井リョウ出版社/メーカー: 集英社発売日: 2012/04/20メディア: 文庫購入: 2人 クリック: 209回この商品を含むブログ (140件) を見る …

ドクダミの花

曇天の早朝、窓を開けると庭の一隅がぽうっと明るい。ドクダミの花が満開である。昨夜の雨に打たれ、葉はツヤツヤと輝き、清楚な白い花が一斉にほころんでいる。 この花はこんなにも美しかったろうか。子供の頃は、ドクダミという名称も何やら恐ろしく、美し…

白石一文『ほかならぬ人へ』(祥伝社文庫)

「近頃面白い本読んだ?」 「ん〜っなんだろ、取りあえずこれど? 直木ショ」 ほかならぬ人へ (祥伝社文庫)作者: 白石一文出版社/メーカー: 祥伝社発売日: 2013/01/10メディア: 文庫 クリック: 1回この商品を含むブログ (16件) を見る 「ん〜私にはいま一つ…

井上靖『憂愁平野』

井上靖は敬愛する作家の一人だが、『憂愁平野』は最後まで読めなかった始めての小説。恋愛を巡り、果てしなく続く登場人物たちの心模様を追うことに疲れてしまった。現実世界において、恋愛過程を繰り返し聞かされる第三者であったなら、付き合いきれない、…

姪、料理をつくる

日曜の午後、姪とデパ地下に出かけ〈GIOTTO〉でスイーツを購入!この贅沢なスイーツに似合う夕食をつくろうと姪は意気込み、以下のメニューと相成りました! ベビーリーフとトマトのサラダ チキンとキノコのチーズグラタン ミニステーキ チーズ入りマッシュ…

青梅

4月21日、住み慣れた町を離れ、隣町に居を移した。新居の玄関先の小さな庭には、いくつかの石が据えられ、槇、紅葉、南天、梅の木などが植栽されている。仲介業者とともにこの家を最初に訪れた日、梅の花はすでに散っていたが、見上げれば赤い萼片が雌蕊を縁…

ベン・スティラー「LIFE!」

地方を訪れた際、スケジュールの都合上、ポッカリと空いてしまった時間をどうやって過ごそうかと思うことがある。私の場合、行き先は温泉、神社仏閣、美術館、はたまた映画館といったところだ。で、本日は映画を選択! 上映スケジュールが私の時間とマッチす…

読書の時間(コミック)

受験が近づいた甥・姪たち、その母からコミック保管の依頼・・・って、幾冊かは母の購入本じゃネ? 取りあえず下記14冊、二夜にて読了! 『宇宙兄弟』21・22巻 小山宙哉 講談社 『聖⭐おにいさん』6・7・9巻 中村光 講談社 『聖⭐おにいさん イエスとブッダ…

朝からシャンパン

正月休み明けの日本、働きマンたちには超多忙の一週間であったろう。週半ば、仕事に追われる連れは言った!「疲れたねエ! あの頂き物のシャンパン、そう、あれあれ、三連休の初日に開けるとしよう」当方、即座に答えて言った。「賛成!意義なし」まさにお疲…

「光の賛歌 印象派展 パリ、セーヌ、ノルマンディの水辺をたどる旅」

東京富士美術館を訪れるのは、はじめてである。八王子駅からはバスで10分余りとのことだが「印象派展」の最終日のためであろうか、乗り場には長い長い列が出来ていた。待つことが苦手な連れは、すぐさまタクシーを拾った。郊外をしばし走ると、丘の上に大き…

謹賀新年

2014年1月1日、穏やかな日和でした。 今年もよろしくお願いいたします。良い一年になりますように。 世界が平和でありますように。