体調不良を理由に北アルプスを離れ、3年が経つ。
近頃、老齢の両親は「やめてくれてよかった」としみじみと言う。現役の頃には「気をつけて」の一声で送り出され、深く語ることはなかったが、山岳事故のニュースを目にすれば山行中の私をさぞや案じたのではなかったか。
しかし今なお私の中でくすぶる山への思いは、立山に取材したという映画『春を背負って』に足を向かわせた。
山を愛する、心優しい人々のドラマである。松山ケンイチを主演に、蒼井優、小林薫、檀ふみら脇も揃えた。山のエキスパートを演じた豊川悦司が、山荘で脳梗塞に見舞われるシーンは、中高年の登山者に警鐘ともなったろう。
しかし見どころは、何と言っても監督でありカメラマンである木村の撮影した山容であった。
『春を背負って』公式ホームページ http://www.haruseotte.jp
さて私の、山を舞台にした映画のベスト1 は、ブラッド・ピット主演の『セブン・イヤーズ・イン・チベット』。大スクリーンで見たせいか、大地が迫ってくるような映像が、壮大なストーリーとともに記憶に残っている。怖いほどに壮麗な山容に感動した。
空撮ならではのアングルも後押しして、地球の営みをも感じた映画であった。もう一度見てみたいと思う一本である。
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