2015-01-01から1年間の記事一覧

舞台は古書店!!

それぞれに風変わりな古書店の主人たち。いずれも一気に読ませていただきました。 美しすぎる女主人、頑固ものの雇われ店主、イケメンの若きあるじ・・・ さて、どの店を訪ねるべきか・・・!? 『ビブリア古書堂の事件手帖』5巻・6巻ビブリア古書堂の事件手帖…

大丸温泉

深まりゆく秋に誘われ、久方ぶりに両親と妹と旅に出ることにした。向かうは紅葉の那須塩原。宿泊先を大丸温泉と決めたのは半月前のことだ。大丸温泉旅館は標高1300メートルに位置する秘湯の一軒宿である。那須連山の景色を楽しみながら、旅館近くの駐車場ま…

琳派100年記念 箱根で琳派 大公開

このところ温泉から遠ざかっていた当方、8時30分新宿発のロマンスカーに乗り込み、連れとともに一路、箱根を目指した。今回の箱根行きは何かと話題の岡田美術館を観るためでもある。岡田美術館は、長く所在が不明であった喜多川歌麿の肉筆画発見のニュースと…

Smith&Watson

建築好き、インテリア好き、古美術好きが高じて、先週末、Smith&Watson製のアンティークのラウンジチェアを購入した。これで我が家における必要なチェアの数は揃い、寂しくも蒐集は打ち止めである。私が一等心惹かれるコレクションアイテムは、絵画でも茶道…

サンルーム

拙宅にて 慎ましい白壁の個人住宅に取って代わり、隣接する敷地に3階建てのマンションが出現した。塀を隔てる我が家の小さなサンルームから上を眺めれば、今後は2階、3階のマンションの住人と顔を合わせることになりそうである。建設中の職人の出入りの多さ…

画鬼暁斎 幕末明治のスター絵師と弟子コンドル

三菱一号館美術館にて連れと待ち合わせ「画鬼暁斎」を見る。本日は渦巻文の藍の単衣に唐草紋様の半幅帯、白足袋に下駄を合わせて、いざ暁斎の世界へ。ジョサイア・コンドル(1852-1920)が三菱一号館を設計したことから企画された今展では、コンドルが師事し…

結城紬

猛暑の夏、連れは雪渓の残る鹿島槍に行こうと言う。それが無理でも爺ヶ岳までは行けるだろう、そこで剣を眺めながら美味いコーヒーを飲もうよ、と誘う。山はすっぱりとやめたつもりであるが、このルートからの剣岳の眺望を思うと心が騒いだ。しかし復帰を目…

広島 太田川の鮎

鮎を楽しみにろばたに出かけた。一昨日の昼、Y氏に同道して銀座・吉野で鮎を食したことを連れに話すと、こちらの言葉が終わらないうちに「その鮎恐い顔してたか? 養殖だろ!」と返ってきた。「天然の鮎は勇ましくて恐い顔をしている」とは連れの持論だが、…

泉鏡花『夜叉池』

8月2日放送の日曜美術館は「あやし おどろし 妖怪絵巻」。なんとも愉快なそのタイトルに惹きよせられ家事の最中であったものの、テレビ画面をチラチラと見やることとなった。その夜半、汗を滲ませて目覚め、今年も早や8月であることを実感する。暑さを呪い…

七夕飾り

小糠雨が降り続くなか、7月になった。庭の笹竹を切り、七夕飾りを作る。昨夜求めた和菓子屋の包装紙を短冊に切り、「織り姫」「彦星」「天の川」と定番の文字を書く。花入はおしゃべり口の茶碗ならぬ籠。 連れの短冊には「ごるふ 煩悩切り」の文字が踊る。こ…

『雨柳堂夢咄』 波津彬子 文庫版1-8巻(ソノラマコミック文庫)

茶友推薦のコミック。20年にわたり書き続けられているという骨董にまつわる奇譚集である。確かに何かが棲んでいるような茶碗には幾度か出会ったことがある。茶を啜ればこちらが茶碗の中に吸い込まれそうな・・・雨柳堂夢咄 文庫版 コミック 1-8巻セット (ソ…

私の印象派 ワシントン・ナショナルギャラリー展〜アメリカ合衆国が誇る印象派コレクションから 2015.2/7-5/24

西欧の美術館は寄贈作品で成り立ったものが少なくない。例えば、ピカソの遺族は莫大な相続税をピカソの作品で納めたが、これをフランスは大いに歓迎した。ピカソの傑作は永久に国内にとどまり、設立した美術館には多くの人々が訪れる。これは即ち外貨獲得の…

花を分ける

4月にはいると、実家の庭では樹木の移植が本格的に始まる。冬の間、父は庭を眺め剪定をしながら、あれはそちらに、これはあそこにと終わりのない構想を練っているらしい。今年一番の大仕事は東南の袖垣を撤去し、大きな皐月二株を移植することであった。な…

水上勉

水上勉。昭和を象徴する作家の一人である。明治以降、薄幸の女性たちの生涯を描いて定評があった。実家の本棚で見つけた2作を手に取る。母が読んだものか。水上の代表作『はなれ瞽女おりん』も70年代の作品であろうが、下記2作のうちでは同じ頃に書かれた『…

花見の茶事

実家にて4月5日、桜を追っての茶事は実妹が亭主を務め、客は茶友のご婦人方。桜尽くしの道具組は綺麗綺麗の趣きである。水屋は亭主の夫君が担い、当方はいつものごとく懐石を請け負った。床飾りは百人一首から花に寄せた歌を選び、札を盆に並べた。こうして…

味噌を仕込む

10年以上も前になろうか、母が麹屋の女主人と知り合ったことを機に、我が家の味噌作りが始まった。 1年目は女主人の丁寧な指導下に仕込みを終え、翌春には美味しい味噌を味わうことが出来た。この味噌に魅入られ、翌年からは家族総出で味噌を仕込むことにな…

花喰い鳥

庭先の梅が満開となった。蜜を目当てに野鳥たちがせわしく訪れる。大きく枝を揺らすのはヒヨドリ、枝枝を飛び踊るのは目白の番いである。カメラを向ければ飛び去ってしまう野鳥たち。目白踊り梅花密かに匂いたつ(敦煌)

睦月の道楽

2015年1月も終わる。中旬には風邪をひき、家でネットの無料映画を何本か見てすごした。普段見ることもないジョージ・クルーニーの主演作『ラストターゲット』であったり、アメリカの青春もの『シンデレラ・ストーリー』であったり、FBI捜査官のコメディー『…

『私の男』桜庭一樹

自らの青年時代を顧み共感を覚えつつも、読み進むうちに相容れない感情が湧き上がってきた。私は近親相姦が受け入れられない人種なのである。心も体も貪りあう悲しいほどに深い感情、それがたまたま父娘間に存在した。そうであったからこそ直木賞受賞作なの…

いせ源

久しぶりにあんこう鍋の老舗「いせ源」に向かう。午後から冷たい雨がぱらついたせいか、順番待ちをする列もなく、すんなりと入店することが出来た。席に着いて周りを見渡せば、男女の二人連れが多いことに気付いた。三十代の恋人のようであったり、熟年の夫…

山上の茶事(五)

正月 祝いの膳 鎌倉の数寄者、居合仲間を招いての正月の茶事。客は7名、それぞれ持ち寄る料理や食材もあると聞き、当方の用意は御節と雑煮で良いとのこと。それだけなら手慣れたものと、軽い気持ちで引き受けた。席入りは11時半。亭主はまず酒盃と向う代わり…

ドクトル・ジバゴ

今年、最初に見た映画は深夜に放送された『ドクトル・ジバゴ』(1月1日0:00〜3:55 BS朝日)であった。監督デヴィッド・リーン、1965年のアカデミー賞受賞作である。美しいテーマ音楽が全編を支配するこの映画を、私はよく知っている気がした。しかし、かつて…