4月にはいると、実家の庭では樹木の移植が本格的に始まる。冬の間、父は庭を眺め剪定をしながら、あれはそちらに、これはあそこにと終わりのない構想を練っているらしい。
今年一番の大仕事は東南の袖垣を撤去し、大きな皐月二株を移植することであった。なかなかの仕上がりに両親ともに満足のようである。
そんなある日のこと、今年もまた五人の茶友が来訪、茶花散策を楽しんだ。10年前から続くこの時期恒例のイベントに、前日から母は皆への土産にと一升の餅米をせいろで蒸しあげ赤飯の折り詰めを用意。また自家産の木瓜酒と花梨酒を四合瓶に詰めかえ、それぞれ土産に添えることにした。
何人かは先日の茶事の客であった。懐石は大変美味でありまた道具に映え取り合わせも良かったとのこと。自分では満足がいかず反省ばかりであったので、思いがけない嬉しい言葉であった。
さて、あらかたの植物はすでに差し上げているのだろうが、うまく根付かなかったり、新しい友人が加わったりで、庭の草木たちはいまだ引く手あまたである。
もらわれていく家の庭にしっかりと根付いて来年には美しい花を咲かせて欲しいなどと考えていると、3年前に鎌倉の数寄者宅から届けられた岩タバコが芽をださないことに気付いた。
かの数寄者には早速連絡を入れ岩タバコを再度所望、快諾をいただいた。植物は土地との相性がよければ手をかけずとも育つもの。先回は鉢植えにしていたが今年は適地に植えて様子をみることにしよう。
以下は今年お分けした今を彩る茶花たちである。
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