2011-01-01から1年間の記事一覧

『名もなき毒』宮部みゆき

12月23日、静岡県牧之原市相良町に赴く。相良は、暑さも盛りの7月に訪れた美しい海辺の町だ。 連れが所要を済ませる間、町の小さな本屋をのぞいた。客の姿のない店内も、女主人の穏やかな笑顔も以前と変わらない。私は昨夏の訪問をなぞるように一冊の本を購…

『賢者の贈り物』 オー・ヘンリー

誕生日のプレゼントは、真珠のイヤリングだった。連れは真珠の色をよくよく見比べ選んでくれたらしい。大玉の真珠は手のひらに重く、穏やかに輝いている。ありがとう。とっても嬉しい。しかし、落としそうで普段使うには躊躇してしまう。6日前は、連れの誕生…

あんこう鍋 いせ源

2年振りにあんこう鍋の老舗「いせ源」を訪れる。この店は6名からの予約は可能であるが、それ以下であれば、入り口で受付を済ませたのち名前を呼ばれるまで店の外で待たなければならない。寒空の下、店の前には大きなストーブがしつらえてある。待つことは苦…

《女心と秋の空》に翻弄される!?

このところ、蒐集癖のある連れは、ゴルフ熱に浮かされ、ウッドにアイアン、パターと何かに憑かれたように購入をはじめた。狙うは中古の名品である。「これは伝説の名品なんだ、なかなかないものさ!」とにもかくにも、本日も先週に引き続きショートコースに…

日向山高原ゴルフコース

11日午前、冷池山荘から急ぎ(約4時間)扇沢まで下山してきた連れの目的は、大町温泉郷近くのゴルフ練習場にて肩慣らしをすることだ。扇沢から今晩のホテルに向い温泉で汗を流すと、次いで大町温泉郷までバスで下り、『岳』という店で昼食をとった。練習場は…

鹿島槍ヶ岳

4年ぶりに鹿島槍に向かう。9日のムーンライト信州(新宿発23:54)に乗車、椅子の上で深い眠りが訪れるのをひたすら待つが、5時間余り浅い眠りを繰り返すのが常だ。10日、早朝5時過ぎ、信濃大町駅着、天気は上々だ。バスで扇沢へ出て、朝食をとった。食欲は…

「暑い夏でもニッポンチャチャチャ 夏ペンギン!」

暑中お見舞い申し上げま〜す。 今年も出ましたョ! フロムアクアのペンギンくん!!毎年、山行計画中に出現するんだなぁ、このペンギンくんたち。 でも今夏はぬかりなし! しっかり4種類、手にいれちゃいましたぁ!!まだゲットしてないスイカペンギンファンのみ…

『パウル・クレー おわらないアトリエ』PAUL KLEE : Art in the Making 1883-1940"

東京国立近代美術館で「パウル・クレー おわらないアトリエ」を観る。入館したのは午後5時少し前であったか・・・週末は夜8時まで開館しており、また明日がこの展覧会の最終日であるため、入り口にはチケットを求める人々が列を作っていた。さて、老若男女で…

相良の海岸 二つの選択

静岡県牧之原市相良町に所要のある連れとともに、東京駅8時3分発のひかりに乗り込んだ。静岡駅から相良までは、バスで約1時間の道程である。連れが所要を済ませる間、町の小さな本屋をのぞいた。店主は高齢ながら愛想の良い女性で、何か1冊、買って帰りたい…

広島・太田川の鮎

銀座・ろばたにて鮎を食べる。今宵の鮎は広島太田川上流の鮎と聞く。小振りな鮎は癖がなく、非常に美味かった。酒は八海山。じゅんさいの山葵酢、隠元、茄子の胡麻和えを肴に、連れと盃を交わした。梅雨明けも近い。

コースデビューを果たす!

法師温泉で命の洗濯をした女がいれば、アイアンを手にしひと月余りでコースデビューを果たした男もいる。ゴルフ熱にうかされたこの男、コースデビューにいたる間、粉骨砕身、週に2日、1日4時間の練習に励んだものだ。さて、当日は3人の先輩諸氏に教えを乞い…

法師温泉から谷川岳へ

窓下を流れる法師川のせせらぎに目を覚ました。昨夜の雨で川の水量が増えたのかもしれない。水音が気になり、なかなか寝付けなかったという母を残して、父は私たちが起きるより前に《法師乃湯》に向かったらしい。わずかな清掃の時間をのぞいていつでも湯に…

法師温泉 長寿館

「家にある歴代の北関東の地図を見たらね、法師温泉にはぜーんぶの地図に赤い印が付いてるの…そう、私が付けたの、それだけ何年も思い続けていた!ってことなの!!」長寿館の予約が取れると、母は珍しく興奮して語ったものである。予約サイトで週末のたった…

3つの滝をめぐる

実家の両親、嫁いだ妹、姪の5人で旅に出ることになった。宿泊先は母が常々泊まってみたいと話していた法師温泉の一軒宿、長寿館である。1日目は、日光の竜頭の滝、湯滝を回り、そこから水上に向かう道中、沼田市の吹割の滝を経由し、法師温泉に向かう行程で…

木曽川水系の鮎

2週連続で美味い鮎を食べることになった。先月、連れは銀座ろばた(呂者堂)を訪れた折に、鮎が入ったら電話してくれるよう主人に頼んでいたのだ。ろばたは昨年来、月に一度は訪れているお気に入りの店である。フロアには囲炉裏のある大きなテーブルがあり、…

成り行きまかせの贅沢

翌朝6時前、誰もいない露天風呂に入る。昨夜からの雨は小降りとなっていたが、肩をたたくしずくが肌寒さを感じさせた。露天を出て屋内に戻ると、2,3の人たちが朝風呂を楽しんでいた。ゆったりと湯船に浸かり昨日来の道程を振り返れば、こうして何もせず流れ…

苦手料理

午後7時半、吉兆での夕食、これだけは天候に関係なく予定通りだ。連れは古唐津と粉引双耳盃、ジョッキ代わりに織部松皮菱筒向を携えてきていた。入り口で馴染みのマネージャーと軽口を交わし、席に着いてすぐにビールを頼んだ。今回はいつものように山行後の…

あり得ない光景とは?

さてゴルフ場から引き上げた我々には夕食までの時間、温泉を楽しむしか術はないのだろうか。ホテル周りを散策するにも雨脚はまだ強い。部屋でくすぶっていた当方、ふと卓球場があったことを思い出した。「クアプールの上に卓球場があったよ」「去年は少しば…

天は許さじ!

この大型連休の我々の当初のスケジュールは、穂高の岳沢小屋まで雪上トレッキングを楽しみ、二日目は信濃大町に一泊し温泉にゆっくりと浸かる予定であった。しかし、岳沢小屋のHP上、4月27日付けの案内に次のような記事を見出した。 宿泊営業見合わせにつ…

松尾大社

京都最古の神社として知られる松尾大社。洛西総氏神とともに醸造祖神が祭られている。神輿庫の軒下には、全国の酒造家から奉献された酒樽が5段重ねにびっしりと並び、なかなか壮観であった。またこの神社には、昭和を代表する作庭家の一人、重森三玲の庭(昭…

大河内山荘

「あの庭はいい、大したもんだよ、大河内傳次郎って俳優は!」と、連れはしみじみと語ったものだ。以来、私の頭の中では小倉山の斜面にあるというその山荘のイメージがふくらみ続けた。ある日のこと、「京都に行くぞ!」と連れが言った。そうして向かったの…

東寺

4月2日、余震の続く関東から京都に旅立った。新幹線の車窓からは変わらず雄々しい富士が見える。映り往く景色…木々の芽木灯が春本番を予見する。早足の連れとともに、京都駅から東寺への道を黙々と歩く。立体曼荼羅に諸尊が配置された東寺の講堂。国宝指定の…

フロムアクアストーリー3

今春のフロムアクアのキャンペーン! 朝のおすすめシーンは4種類!お目覚めペンギンくん、ふとんの中から「クア〜ッ、寝過ごしたぁ!」と言ったか言わぬか、果たして? 手(羽)を必死に伸ばし目覚まし時計を止めようとしているけどぉ?続いては朝のランニン…

「なぜ略奪ないの? 」=被災地の秩序、驚きと称賛―米

近親者を失った悲しみや避難場所での苦労を抱えながら、互いに助け合う被災者の姿が世界の人々に感動を与えている。日本経済・政治の信用が落ちつつある近年、日本を救ってくれるのは、被災地にみる人々の品格であるのかもしれない。まだまだ捨てたものでは…

「マリー=アントワネットの画家ヴィジェ・ルブラン展」三菱一号館美術館

夕刻、そぼ降る雨に打たれながら 「マリー=アントワネットの画家 ヴィジェ・ルブラン展」のオープニングに向かう。業種を問わずガーリーな企画が大流行の世相を反映してか、この展覧会のサブタイトルも「華麗なる宮廷を描いた女性画家たち」であり、ヴィジ…

『冬のかたみに』立原正秋

「立原」が2月いっぱいで休業すると聞いたのは、昨年師走のことである。私たちは驚き、絶句したものだ。「私の料理は古いのかもしれない」 立原氏のつぶやきが耳に残る。果たして、素材の美味さを最大限に引き出す料理は、刺激的な味覚を求めがちな現代人に…

帰ってきた江戸絵画 ギッター・コレクション展 静岡県立美術館

2月11日雪のちらつく朝、静岡に所要があるという連れに同行し、東京駅から新幹線に乗り込んだ。積雪の恐れ、との天気予報であったが、「静岡はめったに雪は降らないさ!」と言うMの言葉どおり、熱海を通過する頃には雪は雨にかわっていた。連れとは午後3時…

南京山水香合

手のひらに宇宙を乗せし夜半かな 敦煌 明末清初。開扇に山水松下囲碁図、側面には繊細な菱文様。江戸期はあるだろう杉材を使用した素朴な箱。表に「なんきん」と・・・ 側面の流れるような草書字はなんて読むンだろう? と考えていると、横にいた連れがニヤ…

墨宝 常盤山文庫名品展

根津美術館が華々しくリニューアルオープンしたのは2009年秋のことだ。美術番組や専門誌でも大きく取り上げられ、その喧騒が落ち着いてから訪ねようと思っていたのだが、いつのまにか1年以上が経ってしまっていた。しかし、ままならないものである。本日は庭…

古染付松竹梅皿

大寒を迎え、鍋がますます美味い季節となった。本日(22日)はゆるりと牡蠣鍋といこう。具材は牡蠣、鱈、春菊、白滝、焼き豆腐。出汁は昆布でとる。薄口醤油とみりん、酒で薄味をつけ、仕上げに大根下ろし。鍋の中は、春菊の緑が彩るだけのシンプルなものだ…