松尾大社

izaatsuyoshi2011-04-27


京都最古の神社として知られる松尾大社。洛西総氏神とともに醸造祖神が祭られている。神輿庫の軒下には、全国の酒造家から奉献された酒樽が5段重ねにびっしりと並び、なかなか壮観であった。

またこの神社には、昭和を代表する作庭家の一人、重森三玲の庭(昭和49年着工、50年5月完成)があり、訪れる人の目を楽しませている。「上古の庭」「曲水の庭」「即興の庭」、そして長男重森完途との合作「蓬莱の庭」の四庭で構成されるものだ。

「上古の庭」はまったくもって不思議な庭である。重森は「据えられた石は石組みでなく、神々の意思によって据えられたもの」と語っているが、なるほどミヤコ笹の中に林立する巨石群は、高山の趣をかもし出している。

重森の作庭の目標は「永遠のモダン」であった。しかし、「曲水の庭」「即興の庭」は現在では趣も異なってしまったのか、彼の意図とは大きく離れてしまったように思われた。

この日、宝物殿の御神像のうち「女神像」は、世田谷美術館で現在開催されている「生誕100年記念 白洲正子展」に貸出中で拝観できず、残念であった。

ところで白洲正子の夫君は吉田茂の懐刀であった白洲次郎だが、このたびの福島原発の事故で、原発推進派であった彼の評価は大分下降しているようだ。人物の評価も時事環境に伴うということであろう。