天は許さじ!

izaatsuyoshi2011-05-04


この大型連休の我々の当初のスケジュールは、穂高の岳沢小屋まで雪上トレッキングを楽しみ、二日目は信濃大町に一泊し温泉にゆっくりと浸かる予定であった。しかし、岳沢小屋のHP上、4月27日付けの案内に次のような記事を見出した。

宿泊営業見合わせについて
ここ数日の連続した降雪により、未明に小屋裏手で小規模な雪崩が発生いたしました。建物への被害はありませんが、しばらくは不安定な天候が続きそうな傾向ですので、宿泊棟の建設は安全面を考慮して5月中旬まで見合わせることといたしました。4月29日よりテント・売店営業などは行います。詳細は4月27日の岳沢便りを参考にしてください

そこで残念ながら出発を1日見送り、30日早朝、ともかく新宿駅7時30分発の特急あずさで信濃大町に向かうことにしたのだった。

信濃大町には11時過ぎに到着した。駅で立ち食い蕎麦を食べ、宿泊先のホテルに向かった。さて山にフラレタ連れが、急ぎでホテルに向かう理由とは・・・。

ホテルの付属施設であるゴルフ場に、午後いち予約を入れていたのだった。これには驚いた。アイアンを握ったばかりの我々ゴルフ初心者にはハーフとは言えコースに出るなど、身の程知らずにもほどがある。普段から大胆な行動に走る連れには慣れているというものの、流石に呆れてしまった。

しかし、天はこの無謀な行動を許さなかった・・・。

ゴルフ場に到着すると、連れはかねて電話で連絡をしていた見るからに人の好さそうな支配人を呼び出して挨拶を交わした。しかし、支配人は紳士的な笑みをたたえ頷きながらも、どこか上の空で先ほどから曇り空の向うを眺めている。すると遠くから雷鳴が聞こえてきた。

雨がサーッと降り出したな、と思った瞬間、キラッと閃光が走った。するとゴルフ場内には空襲警報さながら、「ウウーッ」というサイレンが鳴り渡った。

サイレンに負けじと、雷鳴は轟き雨は土砂降りに変わった。コースに出ていた人々は次々にハウスに戻ってくる。

支配人、振り向いて曰く「今日はあきらめてください。残念ですがまたの機会に・・・」「そうですか、それなら明朝に・・・」と畳み掛ける連れに軽く頷き、忙しそうにコースから雨に濡れて戻った人々のケアに飛び出して行った。

この展開に当方、やれやれ!と胸をなでおろしたものである。初心者の我々はいつになったらコースから帰って来られたことやら、他のお客にも迷惑なことであったろう。

ラウンジでは「これで終了かあ!」 「いや、これで飲めると思えばいいじゃないか? 飲むしかないよ!」 「しかし、すごかったなあ、あの警報!雷よりすごい、あれじゃ誰でも上がってくるね!」などと無念そうな言葉があちこちから聞こえてくる。

いまだ諦めがつかない人物が目の前にも一人・・・コーヒーを飲みながら窓外をうかがっている。すると突然、雨はバラバラと地面をたたく雹に変わり、緑のコースを白く白く染めていったのだった。

連れの野望はここに一蹴されたのである。