2021-01-01から1年間の記事一覧

今年もいせ源

神田須田町 いせ源にて 師走恒例、アンコウ鍋の名店「いせ源」に赴く。10年前ほどは花街の匂いを残す大ベテランの仲居が多かったが、コロナ禍のせいもあるのか、今では大方が若手に変わっている。連れは、私に仲居を呼ばせては注文を重ねた。「まず瓶ビール…

一つ紋付き色無地

拙宅にて 師走後半の週末、家の整理、大掃除の時節である。先週、愛読するブログに大いに刺激を受け、和箪笥の整理を始めた。今年はニ度の引っ越しをし、書籍や洋服は断捨離を決行、和服は実家に送ったり、妹に譲ったりした。和箪笥には大分余裕が出来たが、…

目出度き日々

拙宅にて 洋館の和の住まい、のつもりで越してきたが、10月のはじめに膝を痛めて正座ができなくなった。ならば洋風暮らしを楽しむとしよう。手始めは和箪笥の上にクリスマスツリーを飾り…そして本棚の上にはリースを。時計の下の敷物は、ヨーロッパのどこぞ(…

茶友を招く Ⅱ

実家にて(紅葉狩り) 妹は、11月23日の11時半から12時の間に来ていただくよう、茶友に連絡を入れたという。昨日までの雨があがり、陽ざしが差し込み始めた頃、三々五々集い来る茶友たちには、紅葉の彩る庭で連客を待ちながら、まずは煎茶を楽しんでいただく趣…

茶友を招く Ⅰ

実家にて(11月の献立) 庭を紅葉が彩る晩秋の1日、妹が実家に親しい茶友を招いた。 この日のため、両親は庭の手入れを重ね、私は妹とともに昼食の献立を考えた。干柿やチーズを使った3種の先付けを提案すると、妹も日頃得意とする洋風料理を口にした。 それで…

動物の絵

府中市美術館にて ふた昔前にもなろうか、ジュネーブ歴史博物館で動物をテーマにした展覧会を見たことがあった。古代ヨーロッパのライオンのモザイク壁画が印象に残っている。 Musee d'art et d'historie Geneve "animaux d'art " du 30 mars au 24 septembr…

10月の花

拙宅にて 実家より、四種の椿を持ち帰る。 紅妙蓮寺・西王母・荒獅子「炉開きの頃に開く椿が今年はもう咲いているの、西王母も蕾がふくらんでいる。」と母が首をかしげる。「花数も多いね。椿の当たり年ではないかしら?」 「当たり年なら柿ね。Aさんの庭の…

10月の献立

実家にて 10月9日、妹が3名の同僚を実家に招く。客は大手建設会社で働くキャリアウーマンの面々で、緊急事態宣言が明け、久しぶりに顔をあわせるようであった。うち2名は東京からで、牧歌的な1日を楽しみにしていたという。料理を任された当方だが、茶事の際…

9月の花 Ⅲ

実家にて 早朝から父は栗の実を拾い、秋茗荷を収穫した。明日の十五夜に間に合うよう、3人の学友に送るのだという。ススキの長さに合わせ長い箱を作り、ようやく荷造りを終えたのは正午近くのことであった。父の手紙を添えて、近くのコンビニまで運ぶ。敬老…

9月の花 Ⅱ

拙宅にて 先週末に実家から持ち帰った秋の花々。ホトトギスは花弁をほろほろと落とし、大根草も黄色く小さな花弁を散らせた。いくつかの花を加えていけ直す。5月に移り住んだこの家は、ドアや窓枠などアメリカのアンティークの建具が使われており、洋花がよ…

9月の花

拙宅にて 2度目のワクチン接種を終え、久しぶりに実家に帰った。前回の帰省からこの方、父が足に怪我を負い、母の物忘れが目立つようになったとの妹の電話に、老夫婦の生活に危うさを感じないわけにはいかなかった。それでも庭仕事は楽しいようであった。秋…

須賀敦子のエッセイ

読書の時間書籍の整理した後、書棚の奥に仕舞い込んでいた書籍にも目がとまるようになった。夏季休暇中に再読する。『ミラノ 霧の風景』は、刊行当時に母がプレゼントしてくれたもの。須賀敦子はこの著作で1991年に女流文学賞を受賞し脚光を浴びた。以下の3…

七夕飾り

拙宅にて 善福寺川緑地にほど近い住宅地に越して、ひと月半余が経った。二度の引越しに関わる煩わしさから開放されると、いつの間にか七夕を迎える時節である。思い出すのはこの春まで暮らした家の庭。一隅に生える笹竹を切って七夕飾りを作り、軒先や室内に…

夏目漱石『三四郎』

読書の時間 4月半ばに、そしてそのひと月後に再度の引越しをした。何と慌ただしい春であったろう。引越しを前に、予て処分を考えていた100冊余りの書籍を手放した。それでも1度目の引っ越しの際、大型の美術本や図録を詰めた大量のダンボール箱に辟易する作…

コレクター福富太郎の眼 昭和のキャバレー王が愛した絵画

東京ステーションギャラリーにて 緊急事態宣言により休館を余儀なくされていた東京都の美術館。休館明けの6月初旬、東京ステーションギャラリーで開催されている話題の展覧会「昭和のキャバレー王が愛した絵画」に足を運んだ。何とも艶っぽい美人画を中心に…

ムシカリ

実家にて 2021年を迎えて、早くも3ヶ月が経過した。梅花を送り、今や枝には小さな実が鈴なりである。近隣の桜花は、盛大に花弁を散らし、あるものはすでに葉桜の体。さて、緊急事態宣言が解除され、久しぶりに帰郷した。両親は「そんなに長く帰らなかったの…

梅花散る

拙宅にて 満月に匂う

梅花咲く

拙宅にて このところの陽気に、我が庭の遅咲きの梅が一気に開花した。早朝に窓を開けると、開花2日目にして、はらはらと花弁が散っている。見上げれば、ちょんちょんと枝を飛び移る花喰鳥一羽。目白である。梅花のもと、清々しい心地で庭を掃く。緊急事態宣…

鯛のコブ〆

拙宅にて 天然の鯛が手に入り、久しぶりに志野と絵唐津の向こうを持ち出す。「古志野向附」は荒川豊蔵の箱書があり、蓋裏には「美濃古窯大萱にて 桃山時代にやかれし物なり」とある。時代燗鍋に並ぶは立原潮氏の盃。立原氏は作陶や書を手掛けられておられた…