茶友を招く Ⅱ

実家にて(紅葉狩り)

妹は、11月23日の11時半から12時の間に来ていただくよう、茶友に連絡を入れたという。昨日までの雨があがり、陽ざしが差し込み始めた頃、三々五々集い来る茶友たちには、紅葉の彩る庭で連客を待ちながら、まずは煎茶を楽しんでいただく趣向である。

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席入り前にオードブルをセットした昼食の膳を用意、身体を温めてもらうため、カリン酒のお湯割りを添えた。妹は相伴しながら、料理の運び出しをすることとなった。

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食後は恒例の庭の散策。両親は30年以上の歳月をかけて、開炉の時節から春に至るまで花開く多種多様の椿を集め、椿園を造った。これらの椿は銀座の老舗茶道具商の茶席を飾ったこともある。また茶友を含め私たちもその恩恵にあずかり、茶事や茶会の際は大いに助けられたものだ。

気温も大分下がり、散策後はこたつのある部屋にお誘いした。「わー、温かい」とこたつに膝を入れた彼女たちは口々に声を上げた。
続いて、妹が薄茶を一服差し上げる。台所に控えていた私も挨拶に出させていただいた。料理を褒められればまんざらでもない。先ほどまで数えていた反省すべき諸々は、吹き飛んでしまったようである。

床飾
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見送りに出ると、夕日が差し込んでいた。紅葉した木々の枝葉は重なりあって美しいグラデーションを作り出している。

「それではまた、来年の紅葉の頃に…」との彼女たちの声が晩秋の淡い光のなかに溶けていった。

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