椿いろいろⅡ

実家にて 先般、拙宅に持参したもう一種の椿の名は「玉霞」というそうだ。蕾が膨らむにつれ桃色の絞り模様が顔を出す。 椿とともに持ち帰ったトサミズキは、温かな室内で庭にさきがけて開花した。 その一方、椿にはあわせて6輪の蕾が付いていたが、半分は開…

真夏の花見

実家にて 8月に入ると父が丹精した朝顔と夕顔は、次々に知人にもらわれていく。その前に花見をしようと、7月30日早朝5時半、庭にテーブルとイスを並べて茶と菓子をいただいた。 母は茶を飲みながらも鉢が気になり、花の特徴を記した厚紙を鉢に置いて「これ…

五月の庭で

実家にて 石の上に何年生息しているだろうか、ユキノシタは花盛り。 カシワバアジサイ アスチルベ アワモリショウマ モモノハギキョウといただきもののチドリソウ。 サツキもちらほらと咲きはじめた5月下旬の週末、ミツバシモツケも盛りを迎えた。 清々しい…

裏庭にて

実家にて 白糸草が美しい首を伸ばし、晩春を告げる。 マイヅルソウの見頃は過ぎてしまった。 矢車草の花が咲いた。 山草を研究しているという方にいただいたセリバオウレン。実りの季節を迎えている。 この方は私の中学時代の理科の先生であった。ご自宅に群…

Z世代の優雅な休日 Ⅰ

実家にて ゴールデンウィークに、姪の大学時代の友人4人が日本の伝統的な暮らしを求めて実家へ来ることになった。 4月29日午後8時を回った頃、姪とともにまずは2人の女性が到着。古い家に興味があるのか、玄関に入るなり声をあげ、照明まで撮影する彼らの姿…

立春の庭

実家にて 立春を迎えた。早いものである。 年末に開花したロウバイは、今なお健気に花を見せている。 落ち葉を払うと福寿草が顔を見せた。 こちらは枯葉の寝床から目覚めたスノードロップ。 母によれば前から咲いていたというが、庭も場所によって環境は違い…

師走の箱根

箱根湯本にて 12月3日、箱根湯本に向かった。 宿の庭園にはイルミネーションが施されており、気が付けばクリスマスシーズンが到来。一年はあっという間だ。 さて、この日の午前も連れには仕事があり、新宿12時20分発のロマンスカーに乗車した。 弁当は、蛸と…

10月の庭 Ⅲ

実家にて 秋晴れの心地よい季節である。 母のお気に入りの可憐な花、ダイモンジソウが開花した。 柿は枝がたわむほど鈴なりとなり、鳥たちを待っているかのよう。実りの秋を実感する。 西王母、紅妙蓮寺、荒獅子、初嵐など早咲きの椿が次々と花を開き始めた…

10月の庭 Ⅱ

実家にて 秋も本番、実家の庭ではさまざまな菊が咲き始めた。一方、初秋から咲き始めたシュウメイギクはそろそろ終わり、これが最期の株である。 素朴な素朴な野菊。母はこの花を田舎菊と呼ぶ。名残り10月、籠に映える花のひとつ。 こちらは、もってのほか、…

10月の庭

実家にて 6日間の出張が終わった。眠れない夜にさよならを告げ、深呼吸して緑を満喫する。 野草園では、季節ごとに主役が変わる。今はミカエリソウ(見返草)が君臨。毎年のことながら花房が巨大な虫に見えてしまい、虫によわい私はぞわぞわしてしまう。 キ…

9月の朝顔

実家にて 9月も半ばとなった。朝顔の花がけなげに咲いている。 花径も大分小さくなり、葉は黄色味を帯びてきた。夏を象徴する朝顔が、本格的な秋の到来を告げているかのようだ。 こちらの二つは切り込み作り。 大型台風の予報に朝顔の鉢を軒下に取り込む。雨…

月夜に歩く

実家にて 昨晩は十五夜であった。夕刻、縁側にススキを生け、白玉粉で作った団子と選りすぐりの大きな栗の実を供える。 照明を消し障子越しの月明りを楽しんでいると、次第に目が慣れて部屋の隅々まで見えてきた。 障子を開け、ガラス戸の向こうを眺める。庭…

9月の庭でⅡ

実家にて 藪の中に身をひそめる植物を探して出会ったのは、美しく繊細な傘を広げる可憐なキノコ。 透き通るほどに薄い傘の中央は鮮やかなレモン色だ。一夜ももたず形も色も変わり、溶けてしまうと言う。妖精にたとえられるのも頷ける。 検索するとヒトヨタケ…

9月の庭で

実家にて 朝晩はめっきり涼しくなった。植物たちは互いに競い合って季節の急カーブを回り、夏から秋へとバトンを渡したようだ。表玄関への延段沿いに咲くシュウカイドウは花を落とし、藪の中ではさまざまな花が咲き出した。ひっそりと花弁を広げるホトトギス…

朝顔の便り

実家にて 20年ほども前からか、父は朝顔と夕顔を種から育て、行灯仕立てにして親しい方々に届けている。花が終わると差し上げた方々から「来年も楽しみにしています」との言葉とともに鉢が戻されるのだという。8月5日に帰郷した折にはまだ20鉢ほどが残って…

百日紅満開

実家にて幼いころの思い出もあるのか、父は庭のそちらこちらに百日紅を植えた。それぞれ色が異なる百日紅の花は、緑濃い庭のアクセントになり、真夏の庭の主役である。 母屋前 蔵周辺 好きとはいえ、父はよくぞこれだけの百日紅を植栽したものだ。30本以上あ…

極上の宿

実家にて 次々とエゾカンゾウが開花、朝陽を浴びて黄色い花が眩しいほどに輝く。花の中に客あり 花をのぞき込んでいるうちに子どもの頃に読んだ絵本を思い出した。 チューリップから生まれ大切に育てられていたおやゆびひめは、ある夜、クルミの殻のベッドで…

アジサイの盛り

実家にて アジサイが盛りである。実家では猛暑の中、多種多彩の花々が競演。張り子コレクターの妹から、実家のくれないとホタルブクロをいけたとラインにて。キレイなくれない色 アナベル 七変化 さて、姪夫婦の結婚披露宴が来年明けに決まり、すでに入籍を…

初夏の庭を歩く

実家にて6月4日早朝、母と初夏の庭を歩く。蕾を開き始めた花、今が見頃の花、そして散り際の花と、庭を舞台に主役が次々と入れ替わる。アマチャが咲き始めた。 オオヤマレンゲ。蕾を一輪いただいて花入れに、茶室では蕾が主役。 こちらは花弁を落とし始めた…

ミツバシモツケ

実家にて老舗茶道具商が水屋に控える某数寄者の茶事は10年も続いただろうか。茶懐石を担いながら、桃山期の古陶磁の扱い、料理と器の取り合わせなど、厳しくも多くを学ばせていただいた。茶の湯の世界では名の知れた方々が客となる茶事の懐石を、当方のよう…

また来年のお楽しみ

実家にて 5月29日、早朝に主庭の松の手入れ、秋に落としきれなかった古葉を落とし、風通しをよくする。これは私の役目、続いて父が松の形を見ながら緑摘みにかかる。 日が高くなるに連れ、真夏のような日和となった。 テッセンの花が咲いた。 ミツバシモツケ…

知らないものはたくさんあるⅡ

拙宅にて 今の住まいを下見に訪れたのは昨年の5月半ばのことである。庭は管理が行き届き、アナベルを中心に白い花やカラーリーフのヴァリエーションが美しかったことを覚えている。 以前の家は床の間を備えた日本建築で、狭いながらも石組のある日本庭園であ…

茶友を招く

実家にて 5月5日午後1時半、ゴールデンウィーク恒例の茶花探索に、5人の茶友が訪れる。この日の朝、今年初めての日光キスゲが咲いたと母。黒ロウバイも開花。今年はエビネが元気だという。鎌倉の数寄者にいただいたイワタバコは、春の霜にあたり葉が黒く変…

初夏の庭でランチを!

実家にて 晴天の5月3日正午、妹夫婦と姪夫婦を実家に招いた。姪の夫君には田舎の一軒家ならではの楽しさを体験してもらおうと、庭でのランチを計画した。早朝にテーブルと椅子をセット 3種のオードブル オイルサーディンと新玉葱をクリームチーズに重ねて 玉…

春満つる

実家にて今年は実家の桜花を見逃してしまった。されど桜に劣らない花たちが次々と開花し、目を楽しませてくれる。キブシも満開であった。キクザキイチゲは盛りを過ぎて。 小さなイカリソウ、右は八重のアズマイチゲか。 バイモとイカリソウ、ヤグルマソウ そ…

春の庭を歩く

実家にて 庭歩きの楽しい季節が到来した。1月初旬に帰郷してから2ヶ月半が経過し、今や庭はすっかり春の装いである。見頃を過ぎた福寿草や梅に続き、サンシュユやミツマタが黄色の小さな花弁を開いた。サンシュユ ミツマタ アシビも満開となった。白のアシビ…

ミモザの花束

拙宅にて 春の花が次々と咲き出す時節となった。庭のミモザを剪定をしたからと、知人から花束が届く。サプライズの嬉しいプレゼントであった。黄色も鮮やかなミモザの花束は、室内の雰囲気を明るく変えてくれた。実家の庭ではミツマタが満開。桜は例年より早…

降雪

実家にて 1月30日、齢90を超える妹の恩師を招き、実家にて茶事をすることになった。(しかしコロナ感染者が日毎に増え、またしても先送りになりそうな気配。)少女時代から茶の教えを受け、今は足腰の弱くなった師を思い、妹は準備に余念がない。 一人用の卓を…

茶友を招く Ⅱ

実家にて(紅葉狩り) 妹は、11月23日の11時半から12時の間に来ていただくよう、茶友に連絡を入れたという。昨日までの雨があがり、陽ざしが差し込み始めた頃、三々五々集い来る茶友たちには、紅葉の彩る庭で連客を待ちながら、まずは煎茶を楽しんでいただく趣…

茶友を招く Ⅰ

実家にて(11月の献立) 庭を紅葉が彩る晩秋の1日、妹が実家に親しい茶友を招いた。 この日のため、両親は庭の手入れを重ね、私は妹とともに昼食の献立を考えた。干柿やチーズを使った3種の先付けを提案すると、妹も日頃得意とする洋風料理を口にした。 それで…