書籍

極上の宿

実家にて 次々とエゾカンゾウが開花、朝陽を浴びて黄色い花が眩しいほどに輝く。花の中に客あり 花をのぞき込んでいるうちに子どもの頃に読んだ絵本を思い出した。 チューリップから生まれ大切に育てられていたおやゆびひめは、ある夜、クルミの殻のベッドで…

須賀敦子のエッセイ

読書の時間書籍の整理した後、書棚の奥に仕舞い込んでいた書籍にも目がとまるようになった。夏季休暇中に再読する。『ミラノ 霧の風景』は、刊行当時に母がプレゼントしてくれたもの。須賀敦子はこの著作で1991年に女流文学賞を受賞し脚光を浴びた。以下の3…

夏目漱石『三四郎』

読書の時間 4月半ばに、そしてそのひと月後に再度の引越しをした。何と慌ただしい春であったろう。引越しを前に、予て処分を考えていた100冊余りの書籍を手放した。それでも1度目の引っ越しの際、大型の美術本や図録を詰めた大量のダンボール箱に辟易する作…

鳥海青児という画家

鳥海青児という画家に興味があればこの本がオススメ。471ページの力作、価格はお高め、図書館利用がオススメ。大いなる奇人ぶりが楽しめます。鳥海青児絵を耕す作者:原田 光メディア: 単行本

淡如雲

拙宅にて おうい雲よ ゆうゆうと 馬鹿にのんきそうじゃないか どこまでゆくんだ ずっと磐城平の方までゆくんか (山村暮鳥「雲」より) 時折、父は雲の行方を追いながら「おうい雲よ」とつぶやく。 父の「雲」好きは、暮鳥の詩への感銘によるものと聞いてい…

サンルーム

拙宅にて この2、3日 、晴れの日が続いている。これを逃さじと、冬物のセーターからインド綿の敷物に至るまで、いそいそと洗い物に勤しんだ。青空のもとに、洗濯物を広げるのは大変心地好い。サンルームの白いカーテンの洗濯も終わり、より清々しい空間とな…

『日日是好日 「お茶」が教えてくれた15の幸せ』 森下典子(新潮文庫)

毎日が良い日。雨の日は、雨を聴くこと。いま、この時を生きる喜び。友人を待つ間にと手にとった一冊。あっけなく読了。お茶に興味のある若い人におすすめ。黒木華主演で映画化される由、共演は樹木希林。日日是好日 「お茶」が教えてくれた15のしあわせ (…

『銀の森のパット』 ルウシイ・モード・モンゴメリ

銀の森のパット (角川文庫) [ モンゴメリ ]価格: 1100 円楽天で詳細を見る『パットお嬢さん』 izaatsuyoshi.hatenablog.com

『パットお嬢さん』 ルウシイ・モード・モンゴメリ

パットお嬢さん作者: モンゴメリ出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2013/07/12メディア: Kindle版この商品を含むブログを見る ご存知『赤毛のアン』の作者、モンゴメリの作品、少女時代に読んだ本である。帰郷した折、懐かしい思いで手に取ったものだが、「銀…

ヘデラベリー

子供時代に買ってもらった『おやゆび姫』は大好きな絵本だった。 何より絵が好きだった。カエルも鳥も草花も、とてもリアルに描かれていた。チューリップの花びらの舟にはおやゆび姫が乗っていたはずなのに、不思議なことに彼女の姿は思い出せない。だけど青…

石川淳『至福千年』

至福千年 (岩波文庫 緑 94-2)作者: 石川淳出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 1983/08/16メディア: 文庫購入: 3人 クリック: 73回この商品を含むブログ (23件) を見る 古書店で目に飛び込んできたのは『至福千年』の文字。あらあら、これは未見。 解説は澁澤…

井上靖 『星と祭』

定期的に本棚を整理をしたくなるのは何故だろう。ダンボール箱で休息させている本たちを棚に移動し、背表紙を眺めるのが好きなのかもしれない。そして、純粋にもう一度読みたくなったり、あるいは本屋で出会った時のように新鮮な興味がわいたりして、外出時…

有吉佐和子「地唄」

地唄 (1967年) (新潮文庫)作者: 有吉佐和子出版社/メーカー: 新潮社発売日: 1967メディア: 文庫この商品を含むブログを見る 伝統芸能を背景に様々な人間模様を描く4つの短編集。 「地唄」昭和31年 「墨」昭和36年 「黒衣」昭和36年 「人形浄瑠璃」昭和33年 …

『王妃の離婚』 『愛を読むひと』

気分転換に現実とかけ離れた小説はなかったか、と自宅の本箱をあさる。目に飛び込んできたのは、佐藤賢一『王妃の離婚』、1999年の直木賞受賞作。これがいい、かなり面白かった記憶がある。ページをめくる手が止まらない。映画を見ているように映像が浮かん…

舞台は古書店!!

それぞれに風変わりな古書店の主人たち。いずれも一気に読ませていただきました。 美しすぎる女主人、頑固ものの雇われ店主、イケメンの若きあるじ・・・ さて、どの店を訪ねるべきか・・・!? 『ビブリア古書堂の事件手帖』5巻・6巻ビブリア古書堂の事件手帖…

泉鏡花『夜叉池』

8月2日放送の日曜美術館は「あやし おどろし 妖怪絵巻」。なんとも愉快なそのタイトルに惹きよせられ家事の最中であったものの、テレビ画面をチラチラと見やることとなった。その夜半、汗を滲ませて目覚め、今年も早や8月であることを実感する。暑さを呪い…

『雨柳堂夢咄』 波津彬子 文庫版1-8巻(ソノラマコミック文庫)

茶友推薦のコミック。20年にわたり書き続けられているという骨董にまつわる奇譚集である。確かに何かが棲んでいるような茶碗には幾度か出会ったことがある。茶を啜ればこちらが茶碗の中に吸い込まれそうな・・・雨柳堂夢咄 文庫版 コミック 1-8巻セット (ソ…

水上勉

水上勉。昭和を象徴する作家の一人である。明治以降、薄幸の女性たちの生涯を描いて定評があった。実家の本棚で見つけた2作を手に取る。母が読んだものか。水上の代表作『はなれ瞽女おりん』も70年代の作品であろうが、下記2作のうちでは同じ頃に書かれた『…

『私の男』桜庭一樹

自らの青年時代を顧み共感を覚えつつも、読み進むうちに相容れない感情が湧き上がってきた。私は近親相姦が受け入れられない人種なのである。心も体も貪りあう悲しいほどに深い感情、それがたまたま父娘間に存在した。そうであったからこそ直木賞受賞作なの…

『靄の旋律』アルネ・ダール/『蘭の告発』キャロライン・グレアム

古書店で無作為に手に取ったのは、奇しくもタイトルが韻を踏むスウェーデンとイギリスのミステリー。ともに主人公の刑事たちの私生活がストーリーに面白みを添える。国が違えば生活スタイルも違う。それぞれの風土が作品の個性を際立たせており、人気のある2…

『東京新大橋雨中図』杉本章子 1988年

東京新大橋雨中図 (文春文庫)作者: 杉本章子出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 1991/11メディア: 文庫この商品を含むブログ (8件) を見る 文明開化の光と闇を描いて一世を風靡した”光線画”の異才・小林清親ーその苦闘の軌跡と幕末から明治の激動に翻弄される…

『面一本』出久根達郎

面一本 (講談社文庫)作者: 出久根達郎出版社/メーカー: 講談社発売日: 2014/04/18メディア: Kindle版この商品を含むブログ (1件) を見る 『ビブリア古書堂の事件手帳』読了後、古書つながりで選んだ1冊。 こちらは長編、『ビブリア〜』を1日で読むとすれば、…

『ビブリア古書堂の事件手帖』

ビブリア古書堂の事件手帖―栞子さんと奇妙な客人たち (メディアワークス文庫)作者: 三上延,越島はぐ出版社/メーカー: アスキーメディアワークス発売日: 2011/03/25メディア: 文庫購入: 32人 クリック: 2,758回この商品を含むブログ (446件) を見る『ビブリア…

『ふがいない僕は空を見た』他2冊

一気読み小説3冊!『ふがいない僕は空を見た』窪 美澄 新潮文庫(2014選抜新潮文庫) 本屋大賞第2位/山本周五郎賞/女による女のためのR-18文学賞大賞/この文庫がすごい2013第1位ふがいない僕は空を見た (新潮文庫)作者: 窪美澄出版社/メーカー: 新潮社発売…

中島京子『小さいおうち』(文春文庫)

久しぶりに心惹かれる一冊と出会う。直木賞受賞作は取り敢えず読むという妹の推薦本だが、中島氏の本を読むのは初めてであった。戦前の社会情勢や人々の生活を描いては暗いながらもユーモアがあり、出久根達郎氏の小説に共通する楽しさがあった。また女たち…

『桐島、部活やめるってよ』朝井リョウ

「これどう? 映画にもなったよ!」 「オススメ? フーン! 読んでみるか 」 桐島、部活やめるってよ (集英社文庫)作者: 朝井リョウ出版社/メーカー: 集英社発売日: 2012/04/20メディア: 文庫購入: 2人 クリック: 209回この商品を含むブログ (140件) を見る …

白石一文『ほかならぬ人へ』(祥伝社文庫)

「近頃面白い本読んだ?」 「ん〜っなんだろ、取りあえずこれど? 直木ショ」 ほかならぬ人へ (祥伝社文庫)作者: 白石一文出版社/メーカー: 祥伝社発売日: 2013/01/10メディア: 文庫 クリック: 1回この商品を含むブログ (16件) を見る 「ん〜私にはいま一つ…

井上靖『憂愁平野』

井上靖は敬愛する作家の一人だが、『憂愁平野』は最後まで読めなかった始めての小説。恋愛を巡り、果てしなく続く登場人物たちの心模様を追うことに疲れてしまった。現実世界において、恋愛過程を繰り返し聞かされる第三者であったなら、付き合いきれない、…

読書の時間(コミック)

受験が近づいた甥・姪たち、その母からコミック保管の依頼・・・って、幾冊かは母の購入本じゃネ? 取りあえず下記14冊、二夜にて読了! 『宇宙兄弟』21・22巻 小山宙哉 講談社 『聖⭐おにいさん』6・7・9巻 中村光 講談社 『聖⭐おにいさん イエスとブッダ…

『イエスの古文書』アーヴィング・ウォーレス

イエスの古文書〈上〉 (扶桑社ミステリー)作者: アーヴィングウォーレス,Irving Wallace,宇野利泰出版社/メーカー: 扶桑社発売日: 2005/03/01メディア: 文庫この商品を含むブログ (12件) を見る アメリカで本書が刊行されたのは1972年のこと、ベストセラーで…