拙宅にて
おうい雲よ
ゆうゆうと
馬鹿にのんきそうじゃないか
どこまでゆくんだ
ずっと磐城平の方までゆくんか
(山村暮鳥「雲」より)
時折、父は雲の行方を追いながら「おうい雲よ」とつぶやく。
父の「雲」好きは、暮鳥の詩への感銘によるものと聞いているが、これは学生時代の仲間にも知られていたものらしい。
この書「淡如雲」(中国晩唐:杜牧の詩より)は書家の学友が父のために書いてくれたという。
そして先日、椿の花とともに、この書が私のもとに送られてきた。早速、床にかけ眺めていると、父と並んでみた青い空を悠々と流れる雲が思い出された。
緊急事態宣言発令の未曾有の時にあり、雲のように淡々として居よ、というメッセージであったろうか。