中島京子『小さいおうち』(文春文庫)

久しぶりに心惹かれる一冊と出会う。

直木賞受賞作は取り敢えず読むという妹の推薦本だが、中島氏の本を読むのは初めてであった。

戦前の社会情勢や人々の生活を描いては暗いながらもユーモアがあり、出久根達郎氏の小説に共通する楽しさがあった。

また女たちが纏う濃密な空気感や一人称小説であることなど、谷崎潤一郎大先生の世界をも彷彿とさせた。

話題となった映画は未見だが、機会があれば是非見たい。この物語の要のひとつ、「小さいおうち」の建築ディテールを、映画で確認したいと思うのだ。


小さいおうち (文春文庫)

小さいおうち (文春文庫)