朝顔の便り

実家にて

20年ほども前からか、父は朝顔と夕顔を種から育て、行灯仕立てにして親しい方々に届けている。花が終わると差し上げた方々から「来年も楽しみにしています」との言葉とともに鉢が戻されるのだという。

8月5日に帰郷した折にはまだ20鉢ほどが残っていた。母はひと鉢に2本ずつ植えられた朝顔を眺めながら、「この鉢の朝顔はあどけない幼子、あの鉢は粋筋の女の人のよう」と花に様々な人物を見いだして、「この可愛いピンクはセイコさんにお届けしよう」「こっちは○○さんに!」と渡す相手を決めているようだ。

盆に帰郷した折には朝顔が4鉢、夕顔が1鉢残るのみであった。それぞれ相応しいお宅に届けられたようである。


先日、朝茶事に招いた客にも2鉢ずつお土産にお持ち帰りいただいた。今朝は何輪咲いたかと、庭に出るのが楽しいと便りがあった。またある方からは、毎年画面いっぱいに朝顔の花を描いた絵手紙が届けられる。

一方、夕顔は冷え込む10月の夕べまで、真っ白く大きな花を開かせる。皆が口を揃えてけなげだという。

父は「今年が最期になるかもしれない」と言いながら、毎年、朝顔と夕顔の種を蒔いている。来年も育てあげ、皆さんに喜んでいただけるよう、父母の健康を願う。