実家にて
秋の虫の音に耳をすませ、朝顔を見やれば、昨夜の雨にあたり花弁は重く花径もひと回り小さくなったようだ。「猛暑が懐かしいな!」と声に出すと、「何を言ってるの!」と母が笑う。
朝顔に混じって黄色い花の鉢、「それはオクラよ!」
9月3日の家庭菜園の収穫、形はわるいが新鮮だ。小さなトマトは最後のひとつだそうだ。
台所に白く長い南瓜があった。「種を撒いたおぼえがないのに、林の叢の中にゴロンとあったの。長南瓜みたいね!」なんて呑気な答えが返ってきた。鳥が種を運んできたのかもしれない。
瓜のような形だが、割ってみると綿に抱かれた種の付き方は南瓜そのもの。収穫が早かったのか、実はさほど甘くなかった。
普段より甘味を加えて鶏肉のそぼろ餡を作り、出汁で煮た南瓜と和える。
母がベッドから落ちて肋骨にヒビを入れたと聞き、毎週末に帰郷して3週間余り。大分痛みも引いてきたようである。
連れのため、野菜と南瓜のそぼろ和えを少々持ち帰る。この日の献立は揚げナスと茗荷のポン酢和え、甘長唐辛子の塩焼、オクラの梅肉和えなど。
新鮮な野菜のおかげであろう。連れは、南瓜も茄子も「美味い、美味い」と食べてくれる。この言葉が私の一番のご馳走かもしれない。