新年を祝うⅡ

鎌倉にて

例年、松の内に茶事を行う鎌倉の数寄者から、今年は客の都合がつかず見送りとなったと連絡が入った。

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当方の水屋仕事はないが、例年茶事の後に伺う古美術店に行こうと誘いを受けた。ありがたいことである。

三日午後四時過ぎ、新年挨拶にシャンパンを携え、かの数寄者とともに古美術店を訪ねる。

床には明の「鵲虎図」の大幅がかかり、竹花入れには白玉椿と蕾も固い梅が一枝。潔い床飾りである。

白湯のあと料理が運び出される。美味いのはもちろんのこと、古陶磁の器に沿う素晴らしい盛り付けに今年も大いに触発された。数寄者との会話も楽しく、満足して箸を置いた。

献立

  • 平 椀(魯山人) : 豆腐のアオサ餡かけ
  • 先付五種 (魯山人): コールドビーフ・百合根・酢蓮・松葉銀杏・アワビ
  • 向 う (織部): 中トロ・平貝・鯛
  • 煮物椀 : 牡蠣のみぞれ汁
  • 焼 物 (古九谷): 鴨と茄子の焼物
  • 強 肴 : 山芋と胡瓜の三杯酢和え / ふろふき大根
  • 飯  : 牛蒡の炊き込みご飯
  • 汁  : シジミ汁赤だし
  • 香 物 : 奈良漬・沢庵・白菜柚子漬

中立のあと薄茶を一服頂き、良い気分で店を出る。店主、そしてお誘い頂いた数寄者には感謝である。


さて、愛読する二つのブログに背中を押され、この日、久しぶりに和服に袖を通した。
縮緬に紅型風の模様を抜いた、手持ちの中では一際重い着物で、極寒にはありがたいが、長く着ていると肩が凝るような気がしないでもない。腰紐が緩いと着くずれるおそれもあるなどと昔日を思いながら、紐をきつく締め直した。再び着付の自主練を始めた身には難しい着物を選んでしまったと後悔したが、帯も結んだ頃となれば着替えるには遅い。そして第一、この寒さには抗えない。

お陰様でぬくぬくと肩が凝ることもなく、華やいだ心地で帰宅した。しかし姿見を見やれば(車中寝てしまったためか)、二重太鼓はグダグダの有り様。敵は着物ではなく帯であったか…いやはや。着付けも懐石も精進あるのみと言えようか。


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