和服

紬でいせ源

神田須田町にて 12月29日から1月8日まで冬季休暇である。昨夏以来、気持ちに余裕がなく開くことのなかったブログも更新することができた。 年末30日に帰郷して、実家の大掃除や正月飾り、あれやこれやに時間を費やした。2日の午後、疲れが溜まっていたのだろ…

謹賀新年

鎌倉にて 1月3日、本年も鎌倉にお住まいの数寄者 御贔屓の古美術店にて懐石、薄茶一服のお相伴に預かる。 懐石をいただく度に思うことは、プロ、アマチュアに関わらず、調理する方の好みや美意識は如実に器の上に現れるということだ。私とは異なる、例えば…

道行コート

拙宅にて二十歳を迎える頃、大きな地紋の入った朱色の道行を仕立ててもらった。真新しいコートに袖を通した嬉しさは記憶に残っている。次の道行は大叔母の羽織を仕立て直したもの。先月の鎌倉行きにも身に着けたが、様々な色味が入り大方の着物に合わせやす…

色無地の同系色コーデ

拙宅にて腕が上がらない、腕を背中に回せない、和服を着たいのに帯が結べない…コロナ禍中、自由に動けないストレスを何としょう。こんな時は部屋の模様替をして気分転換をはかるのが一番と、絵を掛けかえたり、テーブルの配置を変えてみたり、衣類を畳み直し…

新年を祝うⅡ

鎌倉にて 例年、松の内に茶事を行う鎌倉の数寄者から、今年は客の都合がつかず見送りとなったと連絡が入った。izaatsuyoshi.hatenablog.com当方の水屋仕事はないが、例年茶事の後に伺う古美術店に行こうと誘いを受けた。ありがたいことである。三日午後四時…

一つ紋付き色無地

拙宅にて 師走後半の週末、家の整理、大掃除の時節である。先週、愛読するブログに大いに刺激を受け、和箪笥の整理を始めた。今年はニ度の引っ越しをし、書籍や洋服は断捨離を決行、和服は実家に送ったり、妹に譲ったりした。和箪笥には大分余裕が出来たが、…

ゆったり旅

旅行会社のHPや雑誌に「ゆったり」の文字を見かけるようになった。連れは特急あずさの往きの指定券を二日前に購入したが、今夏の信濃への旅は何も計画せず文字通りの「ゆったり」旅、山行もゴルフもない。しかし例年通りであるのは宿泊施設と吉兆の夕食であ…

小千谷縮と吉兆と

8月10日、ゴルフと温泉を楽しみに、新宿7時30分発の特急あずさに乗り込む。連れの目的はもちろんゴルフであるが、私はと言えば和服を着て夕食に出かけること! 楽しみは何であれ、車中の人となれば3時間半のちには信濃大町に到着である。読者諸氏にはよくよ…

ゴルフクラブと大島紬

4月29日朝、信濃大町まで直通の7時30分発のあずさに乗るか、それとも松本止まりで乗り換えをしなければならぬひとつ前の臨時特急に乗るか、いつものように指定券を購入しない連れと私は、新宿駅のホームで選択の自由を満喫していた。「雪に覆われた北アルプ…

懐石リハビリ

「おまえ、料理が下手になったなあ!」と連れがしみじみと言う。何をか言わんやその通り、このところ簡単なオードブルでお茶を濁し、メインは見た目の派手なオーブン料理となれば、当方とても自覚症状大アリである。そこで、懐石への情熱を呼び戻すべくリハ…

続・一客一亭の茶事

蔵の中で眠り続けていた古信楽の種壷を花入れとし、連れを正客に迎えて一客一亭の茶事を開く。しかしこの壷のおおらかさを前に、花がなかなか定まらない。落としを代えてみたり、開いた椿をいくつか入れてみたりして、ようやく自然な形に落ち着いた。席入り…

一客一亭の茶事

茶の湯の稽古を辞してから10年余りが経った。今や、和服の着付けは多分に時間がかかり、正座をすれば足がしびれ、点前となれば足がふらつく・・・ここに至っては、自覚も新たに自主錬を開始。何故ならやがて訪れる老後の楽しみのひとつは茶事であるのだから…

第2次和服ブーム

毎々、和服に身を包み、茶の湯の稽古に通っていたのは10年以上も昔のことだ。あれほど和服に親しんでいた時代もあったのかと、往時を懐かしく思うこの頃である。しかしながら一昨年、かつての社中の友人の茶事に招かれて以来、徐々にであるが和服を着る機会…

画鬼暁斎 幕末明治のスター絵師と弟子コンドル

三菱一号館美術館にて連れと待ち合わせ「画鬼暁斎」を見る。本日は渦巻文の藍の単衣に唐草紋様の半幅帯、白足袋に下駄を合わせて、いざ暁斎の世界へ。ジョサイア・コンドル(1852-1920)が三菱一号館を設計したことから企画された今展では、コンドルが師事し…

結城紬

猛暑の夏、連れは雪渓の残る鹿島槍に行こうと言う。それが無理でも爺ヶ岳までは行けるだろう、そこで剣を眺めながら美味いコーヒーを飲もうよ、と誘う。山はすっぱりとやめたつもりであるが、このルートからの剣岳の眺望を思うと心が騒いだ。しかし復帰を目…

睦月の道楽

2015年1月も終わる。中旬には風邪をひき、家でネットの無料映画を何本か見てすごした。普段見ることもないジョージ・クルーニーの主演作『ラストターゲット』であったり、アメリカの青春もの『シンデレラ・ストーリー』であったり、FBI捜査官のコメディー『…

心づくしの茶事

招かねば招かれなくなるのが茶事というもの。私が茶事に熱中していたのは10年も前のことである。ある時から憑き物が落ちたようにやめてしまった。以来、2年余り前にお世話になった方(四名)を招き、簡略な茶事を開いたきりであり、茶事の招待を受けることも…

よみがえる記憶〈大師会〉

朝から降り続ける雪。新成人たちにはあいにくの天候となった。ニュースの映像では、この日のために選んだ華やかな振袖に、冷たい雪が降りかかっている。 その光景に、ある日の出来事が思い出された。10年以上も前になるだろうか。茶の湯の恩師の計らいで根津…

新緑に薄茶一服

近年、ご縁をいただいた年長のお二人を招いて、薄茶を一服差し上げることになった。それぞれご友人をお一人伴われていらっしゃる。当日は晴天、場所は新緑も清々しい春風萬里荘「夢境庵」(茨城県笠間市)。裏千家の茶室「又隠」を手本に北大路魯山人(1883−…

睦月の道楽

早いもので2010年の1月も終わり。瞬く間に過ぎ行く月日を実感する。さて今月、特筆すべきことは…。8日午後、釜をかけていると案内のあった老舗古美術商を訪ねる。柿色無地の着物に、プラチナ地に大きな鱗文様の袋帯、帯揚げ帯締めは若草色と、正月気分さめや…

小紋の着物

正月5日、大伯母譲りの江戸小紋にはじめて袖を通す。新春には地味な紫地に白の小花紋だが、台所と食卓を行き来する身には丁度いい。ガラス重箱に盛り付けた料理も、すでに正月の華やかさは失せ、いつもの献立に戻りつつある。こんな料理にこそ、時節の移りを…

古袱紗の記憶

小さな裂地を愛でるのも、なかなか楽しいものである。織や柄、手触りなど、それぞれに良さがある。先日、某大学の茶道部から、お運びに使う古袱紗を複数枚借用したいとの申し入れを受けた。地味好みの当方の手元にあるものでは、女子学生にはつまらないだろ…