睦月の道楽

izaatsuyoshi2010-01-29


早いもので2010年の1月も終わり。瞬く間に過ぎ行く月日を実感する。さて今月、特筆すべきことは…。

8日午後、釜をかけていると案内のあった老舗古美術商を訪ねる。柿色無地の着物に、プラチナ地に大きな鱗文様の袋帯帯揚帯締めは若草色と、正月気分さめやらずのいでたちで出かけたものだ。さて、点前座は正月に相応しい呉須赤絵水指の一つ置き。華やかで堂々とした道具組である。こういう水指がひとつあってもいい。

古美術商を出て、日本橋八ツ花に向かう。和服姿で、この店を訪れるのは初めてだった。主人や仲居たちに誉めそやされこそばゆい思いをする。この日も我々は招き猫になったようで、訪れてから電話が鳴り続け、次々と客が訪れた。年嵩の仲居が我々を見てにっこりと微笑み言ったものだ。「今年もお客様をたくさん招いてくださいね」

9日朝、箱根に向かう。ゆったりと湯に浸かり、目的もなく過ごす。しかしアルコールが過ぎるのが難点である。

17日午前、例年のごとく鎌倉で居合術大会を観戦。いつ来ても見入ってしまうが、今年は撮影を頼まれてしまった。広角にしたりズームしたりと、工夫をこらして撮影したつもりだが、依頼者には満足していただけただろうか。

終了後、川端康成ら鎌倉文人に愛されたうなぎや「つるや」で一杯。この店は注文があってから鰻を捌くので、焼きあがるまで時間がかかる。その間、肝煮と香物、そして撮ったばかりの居合いの映像を肴にビール、日本酒をあける。会話も盛り上がったところで鰻重の登場だ。ふっくらとした身は野性味も感じさせ、実に美味い。銀座竹葉亭の上品な鰻もいいが、我々の口に合うのはこちらのほうか。

22日夕刻、某古美術商を独立した若い主の店を訪ねる。なかなか面白いものが並んでいた。北大路魯山人の旧蔵といわれる古瀬戸の皿を見た。なるほど五客入りの箱には魯山人の極めがある。渋いもので、どう転んでも私には使いこなせそうにない。枯れた老人がさりげなく使うに相応しい贅沢さがある。

しかし縁はあるもので独楽香合を手に入れた。店主が紫色のやわらかい仕覆の中から取り出した香合には妙な趣きがあり、心が魅かれた。帰って早速、香合の箱を包んでいた風呂敷の綻びを縫う。こまごまとした手仕事は楽しいものである。

本日夜半、お年玉付き年賀状の当選番号を確認する。昨年大きな福をもらったが、今年は下一桁が1枚、切手が当たった。http://d.hatena.ne.jp/izaatsuyoshi/20090130

さて、この一年をいかに有効に?過ごそうか…まずMだ、このところお酒が過ぎる。少し控えさせるとしよう。私といえば、やり残していることに思い至る。ある人には新年の挨拶を欠き、ある人には礼状を怠っている。ならば、今年の目標は、ひとつひとつ丁寧に対応すること、としようか。やらなければならないことは日々増え続けていくばかりなのだから。