紬でいせ源

神田須田町にて

12月29日から1月8日まで冬季休暇である。昨夏以来、気持ちに余裕がなく開くことのなかったブログも更新することができた。

年末30日に帰郷して、実家の大掃除や正月飾り、あれやこれやに時間を費やした。2日の午後、疲れが溜まっていたのだろうか、いつの間にか昼寝をしてしまい、来客にも気づかなかった。

3日は鎌倉で茶席を楽しみ、5日の夕刻は連れとアンコウ鍋の名店「いせ源」に向かった。この店には先月半ばに来ているが、アンコウは厳寒の時期に限る、年が明けたらまた来ようと話していたのだ。

気の早い連れは席に座るや、アサヒビールの中瓶、肝刺、煮こごり、唐揚げを声高に注文した。仲居は世代交代が進み、20代の女子が多くなった。

連れは気に入りの石盃を持ち込みご満悦の様子だ。お姐さんを呼び止めると熱燗を注文。「アツアツで頼むよ!」

しかし、肝刺を口に入れるやいなや、なにやら渋い表情。食べてみるといつもと味が違う。アンコウも個体差があるのだろう。しかし、この店にしては珍しいことだ。暖冬が影響しているのだろうか。

そうこうしているうちに、若い仲居が鍋の中の白い独活が出汁に染まれば食べ頃だと言いながら、コンロに火をつけてくれた。 

鍋は変わらず美味く、日本酒がすすんだ。ぷるぷるとした皮の部分は歯ごたえもよく、椎茸や独活などの野菜もアンコウの出汁がしみて美味さが増している。

鍋底が見えだした頃、酒盃を清めた。〆のおじやも出来上がり、連れが取り分けてくれた。酒盃を箱に収めている私を気遣ってくれたのだろう。

和服で出かけることができるのも休暇中ならではこと。この日は厚手の紬に袖を通し、茶の稽古によく着て行った道行コートを羽織った。アンコウ鍋と熱燗、紬と道行のおかげで寒さを感じずに帰宅。

2024年、日本は波乱の幕開けとなった。禍福は糾える縄の如し。

御多幸を祈念いたします。

 

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