第2次和服ブーム

毎々、和服に身を包み、茶の湯の稽古に通っていたのは10年以上も昔のことだ。あれほど和服に親しんでいた時代もあったのかと、往時を懐かしく思うこの頃である。

しかしながら一昨年、かつての社中の友人の茶事に招かれて以来、徐々にであるが和服を着る機会が増えている。いや、町歩きにも着て行こうという意欲が出てきたと言えようか。昨夏の歌舞伎鑑賞には、それこそ10年ぶりで絽の紋付に袖を通したものである。

そしてこの正月は、箪笥から色無地や小紋、紬を引き出し、それぞれに帯や小物を合わせては、ウキウキと過ごした。眺めれば、大叔母をはじめ、茶の湯に親しんでいた親族から贈られたものも多く、若い時分は袖を通すことがなかった着物も、今はとても美しく粋に感じられる。

今回、母から紅桔梗の色無地を譲り受け、その代わりに、私の柿色も鮮やかな色無地を妹に譲った。また、妹の亜麻色地に白抜きの青海波紋の付け下げと、私の葡萄色をベースにした更紗柄の小紋を交換することになり、それらが互いの手に渡ると、ともに新調した気分を味わった。早速着替えて、本年初となる茶の稽古に興じた。

こうなると、かつては面倒の極みであった襟付けさえ楽しくなってくる。さて新調した襟も清清しく、正月6日、連れと待ち合わせて出向いたのは新橋の寿司屋。

この日はグレー地に白の細かな織り文様の結城を選んだ。一見、地味なこの紬に、大きな梅花紋の染帯を合わせたが、連れには不評。この紬には、すっきりとした無地の帯が良いと言う。地味好みの連れにはさもあろう。しかし、帯を代え色々と遊んでみたいのがこちらの本音。ましてや梅花文様の帯は2月までしか使えないのだから。

次回は大叔母譲りの緑地の小紋に、茶の師匠から下がり受けた獅子文様の織りの帯で出掛けてみようかしらん。3月には紅桔梗の色無地に亀甲紋の帯で茶事もいい・・・