ムシカリ

実家にて

2021年を迎えて、早くも3ヶ月が経過した。梅花を送り、今や枝には小さな実が鈴なりである。近隣の桜花は、盛大に花弁を散らし、あるものはすでに葉桜の体。

さて、緊急事態宣言が解除され、久しぶりに帰郷した。両親は「そんなに長く帰らなかったのかね。歳をとると3ヶ月はあっと言う間だよ」と笑いながら迎えてくれた。昨年は見られなかった庭のコブシ、枝垂れ桜は満開であった。こうして両親と並んで花見が出来ることに感謝した。

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帰りがけに、母が庭の花を切って包んでくれた。ヒュウガミズキ、キブシ、ムシカリ、そして数種の椿であった。

帰途の車中、花を抱えながら、恩師健在の頃の記憶がよみがえる。

帰郷するごと、母は恩師に届けるようにと、山ほどの花を私に持たせた。それぞれの枝には、こよりで花の名前が結ばれており、中には山に自生する草木もあった。

これらの花は、恩師を大変に喜ばせた。「○○先生にお見せしたいわ。社中のものが届けてくれたと自慢しましょう!」と茶目っ気たっぷりの笑みを浮かべた。その言葉に花をつぶさないように運んだ苦労も吹き飛ぶようであった。

帰宅して、花をいれる。

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