『パウル・クレー おわらないアトリエ』PAUL KLEE : Art in the Making 1883-1940"

izaatsuyoshi2011-07-31


東京国立近代美術館で「パウル・クレー おわらないアトリエ」を観る。

入館したのは午後5時少し前であったか・・・週末は夜8時まで開館しており、また明日がこの展覧会の最終日であるため、入り口にはチケットを求める人々が列を作っていた。

さて、老若男女で混み合う会場に分け入る。子どもの姿こそ稀であったが、学生から老人まで、入館者の幅広い年齢層に驚いたものである。クレーは日本人に人気のある画家として知られるが、ここまで多くの人に支持されているとは想像だにしなかった。5月31日にオープンしたこの展覧会は、すでに入館者が10万人を超えたと聞く。

出品点数は約180点、パウル・クレーセンターのあるベルンをはじめ欧米から多数出品されていたが、不思議に魅了されるのは国内所蔵の作品であった。「ph博士の診察室装置」(宮城県美術館所蔵)は以前から好きな作品である。愛知県美術館の「蛾の踊り」の色彩にも魅かれた。繊細なタッチ、ノーブルな色彩は、日本人の好みにかなっているのだろう。

クレーは、詳細な作品リストを作成していた画家である。没後はクレー財団、のちパウル・クレーセンターに引き継がれ、徹底した作品管理と研究がなされている。「おわらないアトリエ」と題されたこの展覧会は、この事実があってこそ成り立つものであろう。

招来品の多いクレー展の入館料は1500円であったが、このうえ名品であふれる館蔵品も観られるとなれば高くはなかった。

館蔵品では舟越保武の「原の城」が心に残った。立像と頭部が並んで展示されているのを観たのが初めてのせいかもしれない。原田直次郎の「騎龍観音」には久々に出会え、幸いであった。


またこの日、昼頃、有楽町の国際アートフォーラムで開催の「東京アートフェア」を駆け足でめぐった。大半が日本人のコンテンポラリーアートであったが、異質な個性がそれぞれのブースで展開されている。面白い作品が度々目に付き足が止まった。入場者も多く盛況であり、客は各々、気に入りの作品を丁寧に鑑賞している。アートの多様化にともない、日本人の好みもますます細分化されていくことだろう。


パウル・クレー おわらないアトリエ」http://klee.exhn.jp/