『賢者の贈り物』 オー・ヘンリー

誕生日のプレゼントは、真珠のイヤリングだった。連れは真珠の色をよくよく見比べ選んでくれたらしい。大玉の真珠は手のひらに重く、穏やかに輝いている。ありがとう。とっても嬉しい。しかし、落としそうで普段使うには躊躇してしまう。

6日前は、連れの誕生日であった。私たちは揃って12月生まれだ。だから誕生日プレゼントは同時にクリスマスのプレゼントでもある。

厳冬でも薄着の連れには、今年もマフラーを贈った。これまでより薄手で、スーツの中に入れてもスマートなシルエットが期待できる。連れはとても気に入ってくれたが、ものが良すぎて普段するにはもったいないと言う。過去2年に贈ったカシミヤのマフラーも自分ではすぐにダメにすると、実家の両親へ送ってしまっていた。

お互いに分不相応のプレゼントだったか…顔を見合わせて笑ったものである。

オー・ヘンリーの『賢者の贈り物』を思い出した。時はクリスマス、互いにプレゼントを購入するため大切なものを手放した若い夫婦、ジムとデラ。

私たちは『賢者』にはほど遠く、ここにこの名作をあげるのもはばかれるが、ジムとデラのように、思いやりがプレゼントを選ばせたことには変わりはない。そして、理由は異なるものの彼らと同じように使いかねている。

しかし、いつの日かクールなマフラーとイヤリングを身に着けてコンサートにでも繰り出してみよう。