琳派100年記念 箱根で琳派 大公開

このところ温泉から遠ざかっていた当方、8時30分新宿発のロマンスカーに乗り込み、連れとともに一路、箱根を目指した。今回の箱根行きは何かと話題の岡田美術館を観るためでもある。

岡田美術館は、長く所在が不明であった喜多川歌麿の肉筆画発見のニュースとともに、2013年10月、華々しくオープンした。数多くのメディアに取り上げられたこけらおとしは記憶に新しい。

現在開催中の展覧会は「琳派100年記念 箱根で琳派 大公開」。出品作のすべてが所蔵品だという。

前期第一部は「京都編ー宗達・光悦・光琳など」、後期第2部は「江戸・大阪編ー抱一・其一・芳中など」。

1階の常設展示から入室する。壁、床、天井とも黒の空間に展示ケースが設えられ、日本、中国、韓国の陶磁器を中心とした古美術が並ぶ。展示物にはLEDスポットが効果的に当てられている。

展示室は1階から5階まで、広大なスペースである。しかし、国宝や重文など大きな目玉がないのが、後発の美術館の苦しいところか。

一隅に春画を展示してあり、葛飾北斎が数点あった。流石に巧い。

「箱根で琳派」の会場も同様、黒い空間に金屏風が浮き上がる。しかし心惹かれたのは宗達墨画「烏図」、表情がいい。

作品に目を向けながら、暗く閉じられた空間を歩む。

すると彼方から、パタパタという足音が近づいてくる。と思うやいなや、傍らを何かがすり抜けていった。足音を目で追えば小さな黒い影。連れが低い声で「コラッ!」と一喝する。どうやら子供が館内を走り回っていたらしい。

それから小さな影は2度と現れなかった。だがしかし、あれは本当に人間の子供であったろうか?

宗達の烏が羽ばたきながら足元をかすめていったのではなかったか!?