かぎもとや

izaatsuyoshi2008-06-11



目的のない日帰り旅に出る。

長野新幹線佐久平小海線に乗りかえ、中込で降車。1時間ほど、伴野城跡界隈を散策した。昼過ぎに軽井沢へ向かう。

星野温泉でゆっくりと湯につかる。鬱蒼と茂る木々に囲まれた大きな露天風呂に、日頃の疲れが溶けていくようであった。

湯上りの頬に高原の風が心地よい。ぶらぶらと歩いて、10年ぶりにかぎもとやののれんをくぐった。

店の奥に、大きな招き猫と達磨、熊手があった。かぎもとやは、多忙を極める昼食時間のあとも、店を閉めないそうだ。目玉のない達磨は、めくらめっぽう働く、というこの店の姿勢を語っている。

仕込みを続ける店員を横目に、こちらはしばしの有閑に憩う。3時近くの客のまばらな店内で、連れと二人、気ままな会話をかわしつつ、きつねと天麩羅、けんちんをつまみに、ビールと冷酒、それぞれ2本を空けた。遅めの、そして長い昼食を、二八の盛り蕎麦で〆る。

ほどほどに酔った身を車の揺れに任せ、高名な政治家たちの別荘がならぶ、昔ながらの軽井沢を行く。苔むした雑木の庭は、この地区の歴史を十分に感じさせる。

夕刻に帰京。新幹線であっという間に、日々変わることない東京の雑踏に紛れ込む。

浅間山を眼前に臨みたかったが、曇天に阻まれて叶わず、心残りである。次回は黒々と聳える浅間に登りたいと思う。