都市計画

izaatsuyoshi2008-06-04

茨城県近代美術館に赴く。

上野から特急に乗車、1時間余りで水戸駅に到着する。美術館へは川辺を心地よく歩いて15分ほどである。館の前には千波湖が広がり、周辺には草木が茂る。前日の雨で緑がしたたるようであった。

水戸市は、前知事からの構想のもと、ニューヨークのセントラルパークをイメージし、市街地と緑地の隣接を目指した都市計画を実行中だという。

元来、水戸市の繁華街は湿地帯に挟まれ、駅からの通りに沿って縦に伸びる鰻の寝床のような街であったように思う。しかし、逆転の発想による、湿地帯を生かした緑地と市街地との隣接計画は成功しつつあるようだ。今や、湖を周回する遊歩道には、セントラルパークのごとくジョギングをする人々が行きかう。

千波湖周辺は、野鳥の楽園でもある。美術館のテラス近くまで、白鳥の親子連れが散歩に来るそうだ。

美術館の対岸に位置する偕楽園は、天保13年(1842年)に、水戸藩第九代藩主徳川斉昭によって開園されたものだ。その名は、領内の民と偕(とも)に楽しむ場となることを願い、付けられたものと聞く。2世紀にわたり、藩主の英断が息づいている都市、とも言えそうだ。

美術館では、かつて神戸の豪邸内を彩っていたという、木村武山の杉戸絵が展示中であった。屋敷は1995年の震災に逢い一部崩壊したが、幸いなことに、この杉戸絵は損傷を受けずにすんだため、木村武山と所蔵者の故郷でもある茨城の美術館に寄託されたという。武山は、同時代の美術院の画家に比べ評価が低いが、この杉戸絵には武山の力量が十分に感じられる。今後の画業研究に期待したい。

6月7日からは、昨秋、文化功労者に顕彰された「奥谷博展」が開催される。高知、横浜と巡回され好評を博した展覧会だ。水戸での会場構成も、大いに楽しみである。