白洲正子 1998年夏鼎談「芸術新潮」

暑さ去りゆく9月半ば、古書店にて求めた6冊。いつもながら脈絡のない選択である。

  • 『妊娠カレンダー』小川洋子(文春文庫)
  • 『三月は深き紅の淵を』恩田陸(講談社文庫)
  • 『王家の風日』宮城野昌光(文藝春秋)
  • 『華の碑文 』杉本苑子(中公文庫)
  • 『秘密の友人』アンドリュー・クラヴァン(角川文庫)
  • 芸術新潮」 1998年8月号 特集 おしゃべりな乳房たち


小川洋子『妊娠カレンダー』は『 貴婦人Aの蘇生』読後の余韻が残る中、手に取った短編集。

妊娠カレンダー (文春文庫)

妊娠カレンダー (文春文庫)

恩田陸作品は初読。ファンが多いと聞く恩田作品の魅力は、この一本では掴めなかった。

宮城野昌光『王家の風日』。中国古代王朝の興亡を、膨大な資料を背景に作者の豊かな想像力が、登場人物たちの喜怒哀楽、人生を蘇らせた力作である。

王家の風日 (文春文庫)

王家の風日 (文春文庫)

杉本苑子『華の碑文』 。以下、カバー裏面の掲載文を紹介する。「時は室町時代、大和猿楽座に生まれた世阿弥が、暗い世俗の桎梏に縛られながらも、辛苦して想をこらし芸を磨いて、日本芸能の最高峰といえる能を大成してゆく感動の生涯を鮮やかに描く。」

華の碑文―世阿弥元清 (中公文庫)

華の碑文―世阿弥元清 (中公文庫)

クラヴァン『秘密の友人』 。美少女エリザベスの妄想と現実が交錯するサイコスリラー。

秘密の友人 (角川文庫)

秘密の友人 (角川文庫)

寝食を忘れ読み耽ったというレベルではないが、小説5冊はそれなりに満足したというところか。

そして1998年「芸術新潮」。巻頭の「おしゃべりな乳房たち」も興味深い特集ではあったが、本号は「特別読物 白洲正子さんへ男友達からの贈り物」に惹かれて購入したものだ。
《初夏の一日、花人・川瀬三郎と、スイス人数寄者フィリップ・ニーゼルの2人が大好きな人を訪問した》鼎談の記録。
白州の88歳とは思えぬ姿、物言いが印象的である。白洲は、この年12月に不帰の人となった。