藤田嗣治 作品をひらく

izaatsuyoshi2008-11-16


藤田嗣治の歿後40年を迎え、各地で藤田関連の展覧会が開催されている昨今、林洋子氏著 『藤田嗣治 作品をひらく 旅・手仕事・日本』(名古屋大学出版会)のサントリー学芸賞受賞が報じられた(11/14)。

藤田嗣治、この時代に翻弄された画家は、82年の生涯に膨大な作品を制作した。林氏の著作は、旅・手仕事・日本をキーワードに、その画業を検証した労作。多数の図版が掲載され藤田作品初心者にも理解しやすい内容である。

昨年末には、フランスの藤田研究家シルヴィー・ビュィッソン氏の未発表作品600点を収録した画集『Foujita inedits』(仏・英・和三ヶ国語表記)が刊行されている。アプローチは異なるが、2著ともに多年にわたる研究の成果であり、藤田画業の検証にこの上ない役割を果たすものだ。

2006年に開催された「生誕120年 藤田嗣治展 パリを魅了した異邦人」の図録に掲載の蔵屋氏のテキストも興味深いものであった。生涯に5人の妻を持った藤田嗣治の作品が、女性の研究家によって読み解かれていくというわけだ。

北海道を皮切りに巡回されている「歿後40年 レオナール・フジタ展」は、本日から上野の森美術館で開催である。モンパルナス美術館との共同企画であるという「フジタとモンパルナスの仲間たち」(〜11/30、笠間日動美術館)も盛況のようだ。今後、藤田嗣治の画業は、ますます注目されていくことだろう。