正月祝いの膳

izaatsuyoshi2009-01-05


正月3日、気のおけない茶友を招き、新年を祝う。毎年恒例、妹の誕生日祝いを兼ねた初釜代わりの新春の宴だ。本年は6名の客を迎え、夕刻6時半、開宴となった。

例年献立は、茶懐石の流れを基本にしているが、前菜にはおせち料理を召し上がっていただいている。昨年からはおせちを重箱に銘々に盛り、縁高扱いで取り回すことにした。なかなかのアイデアだと客の評判も上々である。

酒豪揃いの友たちの会話は尽きず、笑い声も次第に高くなる。茶の湯は楽しい。

当方は「美味しい」の一言を楽しみに腕を振るう。向うは、これまで鯛の昆布〆としていたが、今回は、本マグロの逸品が手に入り、新年早々幸いであった。とろろ飯で〆となる。忘年会、新年会と疲れた体に優しい一品ではあるまいか。

食後には、例年、互いに茶を点て合うが、本年は当方のうっかりで、煎茶を呈すことになった。松の内には開けてはならない蔵の決まりに、予定していた釜道具を取り出せず、というわけだ。年末の慌しさに、道具の確認を忘れたのである。

だが、一夜漬けのつたない当方の煎茶点前は、なかなかの盛り上がりをみせた。大寄せの茶席等で煎茶点前に接したことがある面々は、流石に作法を知っており、委細、教えてもらうこととなった。

大いに盛り上がった宴も、11時過ぎにお開きとなる。見送りに出ると、外気はしんしんと冷え込んでいる。しかし空には星が美しくまたたいており、一同、寒さを忘れ首をめぐらせたものである。

献立

  • 御節七種盛(染付松竹梅皿) 伊達巻、紅白蒲鉾、昆布巻、酢蓮 小柱山椒煮 公魚甘露煮 金柑甘煮
  • 御節六種盛(槍梅重箱) きんとん、黒豆、数の子、紅白膾、炊き合せ(椎茸、八頭、蒟蒻、人参、絹さや)、松葉銀杏
  • 口 取(カクテルグラス)雲丹と湯葉重ね盛、山葵
  • 向 う(伊万里台鉢)本マグロ赤身、紫蘇穂、山葵
  • 煮物椀(松絵煮物椀) 海老真蒸 青菜 針生姜
  • 焼 物 牡蠣揚焼、大根下ろし、かいわれ菜
  • 進 肴 海老甘酢
  • 白和(百合根、春菊、人参、蒟蒻、白ゴマ、豆腐)
  • 八 寸 セロリと蟹の三杯酢和え
  • 飯・香物 とろろ飯