山上の茶事(七)

福とは?

1月3日、鎌倉の数寄者、居合仲間を招いての新春恒例の茶事、本年も水屋に侍ることとなった。客は11名、亭主、水屋方を含め総勢14名である。

昨年の料理不足の轍を踏まぬよう、7キロにもなる料理を携えたものだが、この度は客からも沢山の料理が持ち込まれた(下記2,7,8,9,10)。中でも重箱は盛り付けも美しく美味であり、山葵漬は素朴でありながらこの上なく美味いものであった。

加えてアルコールの持ち込みも多く、一升瓶2本が瞬く間に空になった。

献立

  1. 御節七種盛(鯛昆布〆・筍煮・黒豆・栗きんとん・数の子松前漬キンカン甘煮・田作り)
  2. 松風焼・出汁巻玉子・手まり寿司二種(二段重箱)
  3. 紅白なます・たっぷりといくらをかけて
  4. 里芋煮 針柚子
  5. 紅白蒲鉾・山葵漬を添えて
  6. 公魚昆布巻・柚子巻き大根を添えて 
  7. さつま揚げ・山葵漬を添えて
  8. 漬物二種(白菜・タクワン)
  9. 蒟蒻田楽
  10. 公魚胡麻和え
  11. 雑煮(焼餅・鶏肉・短冊人参大根・椎茸・結びミツバ・里芋・松葉柚子)

後座は薄茶一服、例年同様、亭主蒐集の名品は眼福の極みである。

片付けを追え、茶室を辞したのは午後五時近くであったか。昨年の如、亭主の計らいにより、古美術店を訪ねた。田舎家を模した茶席にて、名品を鑑賞しつつ懐石をいただく。

献立

  1. 先付三種(鮑・唐墨大根・百合根梅)
  2. 向う(中トロ・勘八・子持昆布)
  3. 煮物椀(蓮の山芋真蒸揚・蟹葛餡かけ)
  4. 焼物(海胆・帆立)
  5. 強肴(和物)
  6. 飯・汁椀(赤味噌仕立)

食材良し、味付け良し、品のある盛り付けに本年も感服。三島盃を手に酒も進んだ。

食後、美味い茶を喫して店を出たが、帰途、新宿湘南ラインに揺られながら、つらつらと考える事しばし…この先を生きて何とするのか? 幸福とは本来いかなるものであるのか?

とにもかくにも皆様には幸多い一年でありますように。

2016.1.42016-01-04