美味いもの

izaatsuyoshi2009-05-20


「ぬたが食べたい、ぬたが食べたい。この季節、ぬたがなくては始まらないんだ」          「はいはい、さようで。それでは、丸赤を覗いてまいりましょう」

逸品が並んだ丸赤の店頭で、つやつやと美しい青柳舌切に目をとめた。「その青柳をくださいな」 すると丸赤の目利きはすぐさま応える。「美味いよ、芥子和えには最高よぉ!」

葱と独活、青柳は熱湯にくぐらせ、すぐさま氷水にとる。かたや、鍋で玉味噌を練りあげ火から下ろし、すり鉢に移してさらに練り、酢、芥子、出汁を加えてもうひと練り。練るほどに味噌は輝きを増してくる。

短冊に切った葱と独活、青柳を和え、筆洗向うに盛りつけて、上からとろりと芥子酢味噌をかけたものだ。さてさてお味はいかがなものか? 「美味い」以外に言葉はあるまい!

ひと口、ふた口、み口目と箸は止まらず…あっ!と見てるそばから、ビールを一気に飲み干した。してやったり、辛口批評家「こりゃあ、美味い!」と、満足のため息をもらしたものだ。

さて次なる逸品は、批評家が兼ねて所望の秋田牛のフィレ肉だ。先刻、叩いてのばし、塩・胡椒を振りかけ寝かしておいたもの。大蒜で香りを付けたフライパンで肉を焼き、仕上げに醤油で数滴たらす。さあさあ、この匂いは堪るまい。レアに仕上げたステーキは、からっと揚げたガーリックスライスをぱらぱらと…はてさて、辛口批評家、どう出るか?

「美味いねえ!んぐむぐ…」 続いて冷酒をあおって申すには、「これも美味いよぉ…素材だね。素材がよけりゃ言うことなし!! 脂もほどほどで品が良い、日本酒が一段といけるじゃないか!」 おっしゃるとおり、同感、同感。素材が1番、調理は2番、お誉めの言葉が3番か。

夏山に向け体力増進、日ごろの修行も怠らず。雪渓残る北アルプスの話題で大いに盛り上がった昼下がり、先週末のことである。