M氏、麻婆豆腐を作る

izaatsuyoshi2009-09-23

久しぶりに渡欧、8つの夜を超えてようよう帰国した。

さて、成田まで出迎えに来てくれたM氏、到着時間に遅れが出、1時間半も到着ロビーで待ちぼうけをくった。 「何度も係の人に場所と時間を確認してさッ、出てくる人を目で追ってたら、雪目ならぬ人目になったよ! ほら、目が赤いだろう?」と、会って早々ぼやいたものだ。当方、うさぎのような彼の目を見て、思わず笑みがこぼれた。 積もる話も山々、この8日間に氏の周囲では様々な人間模様が展開し、面白おかしく聞かせてくれたことである。

さて、翌昼食、M氏が料理をかって出、麻婆豆腐を振舞ってくれた。麻婆豆腐はこの御仁の大好物で、中華料理店では必ず頼むが、彼の舌に叶ったものは極めて少ない。ならば作ろうと、氏独特のレシピが考案されたわけである。

大蒜2片、生姜を半欠け、葱を2本みじん切りに、鷹の爪、ひき肉を入れ炒める。頃合に酒を振り、次に鶏ガラスープを注ぎ入れ、味噌で味付け(これは合わせ味噌であること必定)、灰汁を救いながら4、5分煮込む。そして肝心な木綿豆腐は手のひらに乗せ、大きなサイコロに切り鍋に入れる。その手さばきの見事なこと!! 仕上げに片栗粉でとろみをつける。香りに葱の微塵切りを天に盛り、完成!

あまりの手際の良さにまたしても感服だ。要するに自然物、これすべからく天の恵み物故、あれやこれやと弄らないことが肝要、ってことか。ならば、この御仁、懐石料理もいけるのではないか、近い将来 「この度の懐石は亭主の手料理で」と茶事の客たちを大いに喜ばせることもなきにしもあらず。当人曰く「でも、麻婆豆腐じゃなあ〜」

さてと、我ら、出来立てをハフハフしながら食する!ッ、っと美味い!! 酒は日本酒、古唐津、黄瀬戸の石盃で乾杯だ。ヨーロッパにも美味いものは数々あるが、これ以上のものはない。愛情あふれる手作り料理、気に入りの石盃も一役かって、笑い話は尽きること知らずだ。