久しぶりに立原へ行く。古備前徳利を携えて、立原さんと盃を交わそうという連れであったが、残念ながら朝からの雨に断念。美術品の運搬は、傘で手のふさがる雨の日はさけたいものだ。しかし石盃だけは忘れずに、気に入りの斑唐津と黄瀬戸六角を持ち込んだ。
口取は銀杏と椎茸。甘味噌で食すのは初めてであった。ビールを飲んでいた我々だが「これは日本酒!」と早速、盃を持ち出したものだ。
この店の味にぶれがないのは、いつも変わらぬ出汁にあるのだろう。これに野菜や魚の美味みが加わるのだ。
八寸に、松茸と網茸の煮付があった。香りが失せてしまう松茸の煮付とは贅沢な調理法だが、なかなか美味いものであった。また網茸のシコシコとした食感は楽しく、様々な食材がそれぞれに調理された八寸のなかでも、際立っていたと思う。
私にはかなり多めの量であるが、働き盛りの殿方には丁度良いらしい。昔から、美味い料理は男のために作られるもの、だからなのだろう。
献立