妹の嫁ぎ先の舅が逝去して3年が経った。優しい、そして照れるような舅の笑顔を思い出す。
妹から、舅の3回忌の法事を自宅で行うことにしたと電話があったのは、一月ほども前のことだ。客を手料理でもてなしたい、ついては手伝ってはくれまいかと言う。舅は妹の料理をいつも褒めていたのだった。その3回忌に心を込めて料理を作りたいという妹の気持ちに「出来ることなら何でもするよ」と引き受けた。
仕事を持ち、子育てに忙しい妹との打ち合わせは電話で済ませた。法事は11月1日、1時から僧侶の読経があり、2時頃からの遅めの昼食となる。献立は、列席の方々皆の口に合うよう和洋取り混ぜ、また法事の料理にこだわらないものとした。
10時前に妹の嫁ぎ先に到着。まずは、ヒラメを昆布締めにし、続いて煮物椀の真蒸、和え物の下ごしらえに取り掛かる。ゼリー寄せやヒレ肉のロースト、デザートなど時間のかかるものは、妹が昨晩から用意した。山菜おこわは姑が作ってくれたそうだ。
焼香を済ませ、慌しく席を立って、料理の盛り付けにとりかかった。先付け4種を折敷に盛り付け、箸と盃を置き合わせる。部屋に入った客のもらす「綺麗!」との声に、ひと安心だ。続いて昆布〆を半月盆にのせ、運びいれる。ヒラメは上物が手に入り、また4時間で〆具合も丁度良く仕上がった。カラスミを棒状に切り、2本添えた。美しい!と内心、自画自賛する。
料理を運びながらの妹のホステスぶりは中々で、出来た嫁ぶりを発揮している。席中の盛り上がりも上々のようだ。子どもたちは30分足らずで大人たちの会話に飽き、居間に戻りゲームをはじめた。変わらないものだと、舅も笑って見ているかもしれない。
2時間を超えての食事は、お褒めの言葉をいただいてお開きとなった。和洋取り混ぜての料理が吉と出たようである。続いてこちらは片付けに取り掛かった。
席中はがらりと変わり、長姉が盆略点前を披露しているようだ。晩秋の穏やかな日和に、笑いが絶えない和やかな法事となった。
献立