湯木美術館 眼福の極みなり


湯木美術館「茶碗を愉しむ」、藤田美術館「茶〜茶人と道具〜」展鑑賞のため、大阪まで足を運ぶ。

井戸六碗を見る。湯木では、大井戸「対馬」を中心に、青井戸「春日野」、井戸脇「長崎」がその左右に展示され、傑出した三碗の個性が光った。藤田では、肌の美しい大井戸「蓬莱」、青井戸「紹鴎」、圧巻の古井戸「老僧」、眼福の極みなり。

その他、湯木で特筆すべきは、柿蔕「茨木」であろう。茶碗をかえしての展示であった。見込みを見られないのは残念だが、この茶碗の見所は高台にあり、名碗と呼ばれる所以である。「斗々屋」、彫三島「そとはな」等、それぞれ見応えあり。

藤田では、熊川茶碗「白菊」、ノンコウ「朽葉」の、印刷物ではわからなかった色の深さに驚いたものだ。利休作二重切竹花入「よなが」、「本手利休斗々屋」、重文「菊花天目」ほか、利休作茶杓、そして香合等、有名な茶道具が出陳され、来館者も多いようである。加えて、先日、現代陶器ながら、「筆洗向付」を購入した身にあれば、「古萩筆洗茶碗」に出会えたことは、鑑賞者冥利と言えようか。

大阪数寄者の選択眼の見事さに感服の一日であったが、「老僧」に気を抜かれたか、拙文定まらないことである。