庭を見る

連れの所要に便乗し、猛暑のなか京都に出かける。

「白沙村荘 橋本関雪記念館」を初めて訪れる。ここは京都画壇の一時代を築いた画家、橋本関雪の理想郷である。

関雪は終生、作庭を楽しみ、また古美術を愛し収集した。東山大文字を借景にした庭園には、平安から鎌倉期に制作された磨崖仏や塔などの石造品が配置されている。画像は大画室、その広さたるや圧巻である。

しかし期待が大きすぎたためか、長く留まるには至らなかった。

 
続いて、連れの勧めで銀閣寺を訪ねる。20年ぶりになろうか。以来、混雑をきらい、足を運んでいない。

この日は祇園祭の真っ只中、世に知られた銀閣寺とあって邸内はさまざまな国の言葉が飛び交っている。しかし暑さのためか、拝観者数はさほど多くはなかった。

庭を散策していくと、次第に木々と苔の緑が濃くなり、心が痛くなるほどの感動が押し寄せて来た。


暑さに朦朧として四条に戻り、祇園囃子に背中に押されるように連れと待ち合わせのホテルに到着した。

翌日は連れとともに青蓮院門跡に赴き、楠の大木に驚いたものだ。根を四方に張り、大地の栄養を大きく広げた枝先まで運んでいる。このような大樹が市街地に息づくのは、古都ならではであろう。