愛すべき庭

拙宅にて

この家に移り住んで、はや数年が経った。不要不急の外出が制限されている昨今、庭の緑や隣接する公園の緑に癒される日々である。

2月下旬に遅咲きの梅が咲き、4月に入れば柔らかい紅葉の若葉が萌え始める。6月には梅の実が鈴なりとなり、梅仕事を楽しむ…。同時期に南天が白い花を咲かせ、そして冬、赤い実をつける間もなく、鳥たちが啄み、正月の床の間を我が家の南天が彩ることはない。庭とともにある1年はあっという間だ。

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梅も、その奥にある槙も老木だが、1年でかなり徒長枝が伸び、毎冬、庭師の手を借りて、樹木たちは美しい姿を取り戻す。二人の庭師はベテランで、2階建ての屋根ほどもある木々に梯子をかけると、手際よく剪定をこなしていく。

庭の設計は、手入れをしてくれるこの老庭師であったろうか。

玄関の右手には蹲があり、槙の木の左に枯山水の池がある。池の内部の長径は1メートル半、使われている石も梅や紅葉に沿って鎮座する大きなものから、池の周囲の小さなものまで、この小さな庭には贅沢が詰まっているといえようか。

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ドクダミが濃い緑の葉を広げ始めた。白い花が咲けば清々しく、抜いてしまうのも惜しくなる。


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