実家にて:2003(平成15)年11月24日
植物好きの両親は庭の手入れに余念がない。5月の連休には必ず訪れる茶友たちに、草木をお分けすることは母の大きな楽しみである。
実家の、入母屋造り総二階建ての母屋は明治末に建てられたもので、1975(昭和50)年に元の邸から1キロほど離れた雑木林の中に移築した。その際、大がかりな改修を行っている。庭園の古木をも移植する大工事にご先祖様もさぞかし驚かれたことだろうが、このため庭は家屋との調和もよく落ち着いて見える。移築には祖父母の反対もあったと聞くが、今となれば父の英断であったと言えよう。
おかげさまで桜や新緑、紅葉の季節には庭の散策を目的に多くの知人客が訪れる。妹や私が実家で茶事をするのもこの時期である。
仕事でお世話になったY先生をお招きしたのは紅葉の美しい頃、2003年の11月であった。Y先生には度々お昼を御馳走になり、美術談義、古美術談義を交わした。今は彼岸の人となられたY先生の「もう一度茶事に呼んでくれよ。炉の中は炭が赤々としてきれいだったなあ」との声が耳に残る。また両親に「先生がいい庭だとほめてくれた」と伝えると顔を明るくして喜んでいたことも思い出される。
名古屋出身のY先生のため、茶杓は江戸期名古屋の豪商 川村曲全斎の作、また詰めをお願いした方が表千家を学ばれていることから、江戸時代に表、裏の宗匠とともに七事式を考案した大徳寺の無学宗衍の軸とした。会記は手元に残る資料と記憶が異なるが致し方ない。
寄付
腰掛
- 井桁生地煙草盆
- 火入 麦藁手
初座
懐石
- 折 敷 鎌倉彫 明治時代
- 四 椀 根来椀 江戸中期
- 煮物椀 秀衡椀 表阿彌作 明治時代(鴨丸・清まし仕立て)
- 向 う 木瀬戸銅鑼向付 小泉淳作 作(鮃コブ〆)
- 燗 鍋 糸目燗鍋(蓋:呉須)江戸時代
- 焼物鉢 焼〆皿
- 預徳利 備前油徳利 江戸時代
- 預け鉢 粉引
- 預け鉢 高麗青磁 13世紀(白和え)
- 小吸物椀 松葉図溜塗(むかご・針生姜)
- 八 寸 生地(蓮雪輪・河豚煮凝り)
- 香物鉢 黄瀬戸鉢 加藤春鼎作
- 縁 高 「真久路奴梨利休好婦知高」木村表斎 明治時代(椿饅頭)
後座(続き薄茶)