正午の茶事

実家にて

師走11日、妹は千家流派の青年部で知り合って以降、30年余り親交するお三方を茶事に招いた。先回同様、亭主は妹、半東は妹の主人、懐石は私がつとめるいつも通りの布陣である。

待合

 

懐石

  • 折敷
  • 向う(15代永楽善五郎)平目コブ〆
  • 飯碗(真塗)栗おこわ
  • 汁椀(真塗)蕪・湯葉・むかご合わせ味噌仕立
  • 煮物椀(金彩色絵独楽文蓋付碗)ふろふき大根

  • 進肴(黄瀬戸銅鑼鉢 小泉淳作造)鰻白焼・蓮根・南瓜甘煮・菜の花出汁浸し・香物二種
  • 小吸物椀 クコの実・蕗
  • 八寸 小鯛笹漬・松葉銀杏

飯器の持ち出し、汁替え、預け鉢は省略したが、客は亭主夫婦の飲み仲間でもあり、この度は半東が八寸と自らの盃を持ち出し、酒を交わした。

 

 

お三方は妹と同学年、中でも正客はともに奈良・京都を度々訪ねた友人とのこと、その京都の旅で求めた茶箱を使うのだという。

茶箱は待合で楽しんでいただくこととなり、そのため水屋方は、濃茶点前中に待合の軸を替え、瓶かけと風炉先に花屏風を持ち出すなど慌ただしく動かなくてはならなかった。

その後再び本席に戻り、通常の薄茶に戻る流れである。事前には「少しやりすぎじゃない?」と思わず言葉が出てしまったが、当日は気のおけない友人間ならではの盛り上がりをみせた。薄茶席では笑い声が絶えず、いつのまにやら5時間が経過した。茶の湯を通じて育まれた友情は、寒空の下に温かいひとときををもたらしたようである。

妹は水屋方の私たちに「いつもありがとう。今度は亭主を代わろうよ。お招きすればいい。私、なんでもするから」と毎度のようにいう。

さて、私がお世話になった社中の先輩諸氏は高齢である。遠く実家まで足を運んでくださるだろうか。