箱根にて
今年の桜は急ぎ足でやってきた。
このところ、足の甲が痛むという連れは、ゴルフにも行けず、温泉頼りの週末を過ごしている。
3月21日、箱根に参じる。いつものように連れと二人、小田急ロマンスカーで弁当を開いた。
献立
実家の庭で摘んできた蕗の薹が、この日一番のご馳走であったか、連れは甘くほろ苦い春を味わいながら厚揚げと蒟蒻を交互に頬張った。
箱根の桜は七分ほどが開花していたろう。
ゆったりと湯に浸かり、ホテルの庭園に出た。池の端に陣取り、火照った身体を風に任せていると、鯉が次々に集まってきた。
餌はホテルのカウンターで100円で購入出来る。餌を投げると、彼らは水をはね上げながら争うように喰んだ。
連れは鯉に話しかけながら餌をまいたり、そばで見ている子供たちに餌を渡してまき方を教えたりと、存外、楽しそうである。
桜の下、ビールで乾杯する。足が痛かろうが、仕事や家族の世話におわれようが季節は巡る。結局、今春の花見はこの短い時間だけであった。