続き薄茶

拙宅にて

今朝も続き薄茶の稽古をする。

紅葉の頃、師や社中の友を東京から2時間ほどの実家に招き、茶名披露をしたことが懐かしく思い出される。
この折は、同時に茶名をいただいた道具好きの先輩とともに二人亭主となった。彼は初炭と濃茶を、私が懐石と薄茶を担い、水屋には妹夫婦が控えた。
茶事は順調に進んだが、席中では話がはずみ続き薄茶であっても、客が帰京する特急の時間にはギリギリであった。

次に、師を実家での茶事に招いたのは多分翌々年、10月であった。中秋の名月にちなんだ近衛家煕(与楽院)の軸を掛けると師は喜ばれた。

その後、老齢の師は遠出が難しくなり、自宅で過ごすことが多くなった。それでも週2度の稽古の時間を持ち、秋が来ると幾度も「あの時の紅葉はきれいでした。楽しい思い出となりました」と語った。この言葉は私には最高の褒美であった。


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