年の瀬の茶

正月の取り合わせをあれこれと考えながら茶道具の整理をしていると、煎茶点前の道具が目についた。今は亡き大伯母の愛用品である。当方、煎茶道には不案内であるが、小さな、まことに愛らしい茶銚や茶碗に興味をひかれ、初心者用の本を紐解いてみた。

使いやすそうな道具を選び、作法に従い玉露を入れてみる。沸かしたての湯を50度ほどに下げ茶銚に注ぎ、ゆっくりゆっくり茶葉の開くを待った。

3分もかかっただろうか。見よう見真似であっても、小さな茶碗に注ぎいれた茶はとろりとして甘く、香り高いものであった。二煎目は同じ茶葉であるのが不思議なほど味わいが違う。

まずは、茶道(抹茶)とは時間の流れが異なる点前に驚いたものだ。折があれば、本流の点前に接してみたいと思う。煤払い、正月飾りと慌しい年の瀬に、ゆったりとした静かな時間を持てたことは嬉しく、このところの疲れも溶けていくようであった。なるほど、これこそ茶の効用と言えようか。