鯛の白子

izaatsuyoshi2009-04-17


銀座あさみにて会食。近日に思いついての予約はなかなか取れず、この店に行くのは久しぶりだったが、茶懐石をも踏まえた主人の真面目な仕事振りは変わらずだ。

本日は味にうるさい数寄者と茶道具商との会食であり、出される料理について二人の評価を聞いているのは存外、面白かった。画像に紹介するのは鯛の白子の焼物。白子は大変香ばしく美味であったが、付け合せの蚕豆の味付について二人の評価は異なった。

数寄者曰く 「甘みの強い白子に添える蚕豆を、より甘くするのは如何なものか」 対して茶道具商の先鋭氏 「白子の後に蚕豆を口にすれば甘みのハーモニーが楽しめます」

当方が行司であったなら、数寄者に軍配をあげよう。蚕豆はいわゆる飴でからめたような甘さであり、少々辟易した。近年、店をたたんだ八百善の「人はある程度の強い甘み、辛味を美味しいと感じるのだ」という思い入れにも似たものか。

私事、茶懐石を頼まれれば、亭主の舌にあわせ出汁のとり方を変えているが、店を構えてはそうもいられまい。

茶会では「吉兆は流石に…」「それより辻留」「いやいや一文字が」などという、とりとめない茶人たちの会話を耳にする。すべては個人の舌に合うか合わぬか。大看板を掲げる老舗であっては、多くの人に美味いと感じさせる料理を自信を持って提供し納得させるが常道となろう。

いつものように桃山酒盃を持ち込んで、酒豪二人とともに石川から山形の酒へと飲み次いだ。週末の疲れも手伝って、酔って記した献立の食材と料理の順番はいささか自信がない。

献立

  • 前菜 山葵豆腐の焼きもの
  • 進肴 赤貝と鳥貝の酢味噌和え
  • 鯛の白子焼き 蚕豆
  • 蛸、根菜の炊き合わせ
  • 造り 甘海老、鯛
  • 凌ぎ 蒸海老 とろの握り
  • 焼物 鰆・筍の重ね焼き
  • 飯  鯛茶漬け
  • 香物
  • 菓子 蕨もち

銀座あさみ http://www.tokyo-calendar.tv/dining/10702.html