連れに付き合い、静岡に到着したのは、12時少し前。連れが所用を済ませる間、話題の「利久にたずねよ」を観ようと、迷わずシネコンに向かった。井戸茶碗に高揚されてのことだ。
シネコンに駆け込むと「利久にたずねよ」の上映時間を確認する。残念! 15分前に始まっている。ここはさっぱり諦めよう。となれば、時代ものつながりで「清洲会議」か「武士の献立」か…
「清洲会議」の上映開始は程なく、「武士の献立」までには珈琲一杯をゆっくりと楽しむ時間がある…で、珈琲を選んだ。
さて「武士の献立」。ストーリーにさして面白味はないが、演技人、演出が魅せ、それなりに楽しめた。そして当方には何より料理が魅力。再現したい料理もあった。
西田敏行が演じた舟木伝内は、加賀の料理を調査し『料理無言抄』を編纂、書き残した人物。この人を掘り下げれば、深く面白味のあるドラマになるだろう。
終盤、包丁侍、船木家の威信を賭けて、伝内親子は一世一代の饗応料理にあたる。質量ともに贅沢至極、次に紹介するが、完食するのは難しそうである。
本膳
- 一、御汁 : 橘焼 筒牛蒡 松茸 芹
- 一、鱠 : 鯛塩焼 さより もりくり 生姜 漬きんかん花弁人参
- 一、御肴 : 伊勢海老 もり大根 青菜
- 一、御飯
- 一、香の物 : 沢庵煮
二の膳
- 一、杉箱 : 蒸し玉子 筍 結びひじき 裏白
- 一、御汁 : 小鯛 独活の芽 梅花人参 天盛木の芽
- 一、御肴 : 鯨 生姜
- 一、刺身 : 鯉子付 寒天 巻蓮根 山葵 煎酒
三の膳
- 一、焼物 : 鯛塩焼 矢生姜
- 一、御肴 : 鮑田楽
- 一、御吸物 : ひれ めぎす真薯 行者にんにく
与の膳
- 一、強肴 : 筍海老木の芽味噌かけ(あられのせ)
- 鰯山椒煮
- たらの芽山かけ・芹
- ふきのとう・花百合根
- 氷頭みぞれ和え・いくら
五の膳
六の膳
- 一、御肴 : 天婦羅 鯛塩焼 蓮根 南瓜 矢生姜 美味出汁
- 一、煮物 : 花びらはべん
七の善
- 一、すずき霜ふり : 防風 唐草 紫蘇の花 煎酒
『武士の献立』(ぶしのこんだて)は、2013年12月14日に公開された日本映画。2010年に公開された『武士の家計簿』に続き、江戸時代の加賀藩に仕えた武士をユニークな切り口で描く時代劇。「料理無言抄」という当時のレシピ集を書き残した実在の包丁侍、舟木伝内と安信親子とその家族を描いたヒューマンドラマである。脚本は『武士の家計簿』の柏田道夫。監督は山田洋次の愛弟子であり『釣りバカ日誌』シリーズを手掛けてきた朝原雄三。松竹・北國新聞共同製作。北國新聞創刊120周年作品。