小田急ロマンスカーにて
2月23日祝日、ロマンスカーで箱根に向かう。車内ではコロナ禍以前のように外人観光客を多く見かけた。
隣席は長い黒髪も美しい二人の中国人女性。折しも大きなスーツケースを棚にあげようとしていた彼女らに、連れは「あげましょう。」と声をかけ、スーツケース2つを棚に上げた。女性たちは驚いたのか、一言も発せず、不思議なほどの無表情であった。
要らぬおせっかいであったと思うまもなく、彼女らは淡々とトンカツ弁当の包みを開き始めた。我々には理解し難い異国の女性たちにも、日本で良い思い出を作ってほしいと願う。
さて、昼時を迎え、いつものように小さなテーブルに重箱とグラスを並べる。連れはザックからビールのロング缶と白のスパーリングワイン、日本酒の小瓶を引き出した。
献立
前日訪れた銀座松屋の地下食料品売場は魚売場のリニューアル中で連れの好物の蛸は買えず、3パックのセール価格に吸い寄せられ、豚のフィレ、ロース、挽肉を購入してしまった。
これらの肉をどう調理しようかと当日は早朝から台所に立ち、気付くと結構な時間が経過していた。
炊き込みご飯の具を仕込み、何かと調理工程の多い豚汁は連れの所望。肉ダネを捏ね、野菜に詰めては焼いたり煮込んだり、ムニエルの手法で焼いたフィレとボイルしたポテトは、仕上げに連れのお気に入りのトリュフのドレッシング&ソース(千年屋)でからめ煮にした。
家ご飯はどんなに手をかけても、料理は出したそばから連れの口の中に次々に飛び込み、撮影は不可能。料理の記録を残すのはどうしても弁当が中心になってしまう。近年は蓋をする前に撮影するのが習慣となった。
肉詰3種は、同じタネでも野菜が変わると風味が違うと、連れには存外好評であった。
常宿で風呂に浸かり、3時間ほどで帰京、本日も日帰りである。ゴールデンウィークにはゆっくりと旅がしたいと連れと話す。
宿を出て川沿いを歩く。いつもより水嵩が増しているようである。芽木灯りに彩られた雑木が春の訪れが近いことを告げていた。