古希祝いの茶事

実家にて

茶の湯の世界は社中や流派の垣根を越えて、茶事に招いたり招かれたり。心あれば交流は広がっていく。この度は、妹夫婦が敬愛する正客の古希祝いの茶事。連客は2名、席入は客の都合により13時半となった。続き薄茶でもてなす。

懐石は四つ碗を省略し日本酒を楽しんでいただく趣向。膳は輪島朱塗二ノ膳を用いた。

懐石

  • 煮物椀:海老真丈、焼餅、人参、結び三つ葉、柚子松葉(長寿萬年蒔絵 黒塗煮物椀 時代)

進肴:

  • 穴子山椒煮、里芋(高麗青磁 13世紀末)
  • 金柑甘煮(三彩長皿  六代清水六兵衛 造)
  • 菜の花の辛子味噌がけ(松乃絵鉢 其中窯 河村喜太郎 造)


小吸物椀:ふきのとう(初代渡辺喜三郎 造)

八寸:からすみ、アスパラ、干柿

少々、時間がおしても千鳥は欠かせない客と亭主、前席は笑いが絶えなかった。しかし中立後に銅鑼が鳴れば、打って変わって道具を挟み亭主と客が真剣に向き合う。この日のための道具組を客と分かち合えれば、亭主としては本望であろう。

正客は私もよく知っている方で、当方所持の道具もいくつか使わせていただいた。

名越善正(元和5年没)作と伝わる雲竜釜は、胴に巻きつく愛嬌のある竜が気に入り、40代に背伸びをして求めた思い出の釜である。熱伝導力がよく、5月に使用した折には点前をしていて顔が熱くなった。以来、炉の季節に使用している。大きな釜であり、釣釜とするには実家の天井は耐えられないだろう。竜の姿もご覧にいただければと少々高めに据えている。

17時半頃、客を見送る。