蓑虫や 酒宴にて

izaatsuyoshi2008-07-21



蓑 虫 也 中 々 声 能 面 白 支

江戸初期の隠遁者、石川丈山の句である。家康の諜報者といわれるが、数寄者としても名を成した人物だ。
「みのむしやなかなかこえのおもしろし」          
何を想ってこの句を詠んだか…いずれにしろ丈山の当時の心境を伝えるものではあろう。

しかし、果たして蓑虫は声を発するのか、素朴な疑問がわく。某氏、盃を飲み干して言う。山上の茶室でキューという切なく重苦しい声を聞いたことがある、この声の主こそ蓑虫である、と。

その真偽はともかくとして、鳴かないだろう虫の声に何を聞くのか、盃を片手に各人、思い深める一夜であった。