行楽弁当

ロマンスカーにて

出張が続き、いつの間にか師走を迎えてしまった。11月20日には妹の茶事の手伝いがあり、このところ連れとゆっくりと過ごす時間もない。申し訳なく思う。

11月22日帰京、翌23日は祝日で、日帰りで箱根行きを計画した。ところが午前、連れに仕事が入ってしまった。そうと決まれば腹を決めて弁当作りに勤しもう。

午前11時20分発のロマンスカーを予約し、早々に新宿駅に到着すると「ギリギリの到着だ。酒は買えるかな?」と連れからメッセージが入った。ビールとワインの小瓶を購入し連絡を入れると「こちらも買った」との返信。

2人合わせて6本のアルコール!「こんなに買っても飲みきれないのに…」と呆れ果てる私の機嫌を伺うように、連れは「今日は忙しかったなあ…」とつぶやきながらビールを流し込んだ。そして、なかなか弁当を広げない私に代わり、連れは慣れない手付きで包みをほどき始めた。

蓋を開ければ、ロースの香草焼き、マッシュポテト、蛸とセロリのマリネ、蒟蒻の炒り煮、出汁巻き卵に御赤飯と連れの好物が並んでいる。

 

 

文句はあるまい、とニヤニヤしている当方に気づいたのか、連れはここぞとばかりにザックからスパークリングワインを引き出した。嗚呼、習慣とは恐ろしいもの!即座に小さなテーブルにワイングラスを二つ並べてしまった。 

「盛り付けが整然としすぎだ。コンニャクはもっとタレがドロンとしてないとなあ!」などと連れは御託を並べながら凄い勢いで箸を進めている。連れの舌は今日も好調だ。

 

小雨降る寒い1日であった。箱根湯本の定宿に到着すると早速、湯殿に向かう。午後1時過ぎの女湯にはほとんど人がなく、ゆっくりと湯に浸かる。翌日もまた出張だと思いながらも、日頃の疲れが溶けていった。