行楽弁当:河口湖・箱根

連れと二人、週末に繰り出すのは温泉地までの小旅行。このところは箱根を月いちで訪ね、もう一度はゴルフや所要を兼ねての温泉地巡りというところだ。

朝食は弁当を持参して、車窓を楽しみながらいただくのが常。11月は河口湖と箱根に赴き、車中で弁当を開いた。

河口湖を訪れたのは初めてであった。この日の弁当は、鎌倉彫の重箱に、桜エビと生姜の炊きこみご飯、菜は連れの好物のヒレ肉の味噌焼、だし巻き玉子とブロッコリーのサラダなどを詰め込んだ。前日、生の桜エビをみつけ、初めて炊きこみご飯を作ってみたが、これは簡単ながら間違いなしの美味しさであった。

電車を降り、タクシーで河口湖美術館に向かった。開催中の「名人 金山平三展」を見にきたのである。今や、雲も晴れて富士山がすぐ近くに見え、楽しみは倍増した。タクシーのドライバーは前日にも雪が降ったと言い、青空を背景に山頂付近で雪煙が巻くのが見えた。

大気までを描き出す金山作品を満喫し、河口湖美術館を出る。富士の絶景を左手に大橋を歩いて渡り、紹介された湖畔のホテルで温泉に浸かった。湯は温度が低いため沸かし湯であるという。町中は外人観光客で賑わっているが、ここは静かであった。自販機のビールはキンキンに冷えて連れが「美味いっ!」とうなる。

駅に向かうバスは、東南アジアからの観光客でいっぱいであった。ドライバーの慣れた様子に連れが声をかけると「富士が世界遺産に登録されてからはずっとこんなもんですよ」と語った。

駅前のほうとうの店でかなり遅い昼食をとった。ここも大半が国外の観光客であった。冷酒を飲んでいると、相席になったシンガポールから来たというカップルが熱燗を注文した。自然に乾杯となった。やはり富士を見に来たのだと言った。

後日、箱根に携えたのは椀型の弁当箱。五目ご飯にだし巻き玉子、和物は春菊の胡麻和えと鰹節和えの二種。加えて、連れの要望により本場愛媛産ジャコ天を添え、生姜をおろして天に降った。味噌汁の椀に仕込んだ具は蕪と青物、保温ボトルの汁を注げば熱々の味噌汁がいただける。これは連れには大変好評であった。